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2024年8月2日【IoT】

JDI、 2画面を同時表示できる車載ディスプレイを実用化

坂上 賢治

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運転席側と助手席側で異なる映像を表示し、左右からのタッチ操作も識別

 

ジャパンディスプレイ( JDI )は8月2日、見る方向により異なる2つの映像を表示する2Vision Display( 2VD )の画質を大幅に向上させ、車載用途で求められる画質に対応できる2VD の製品を世界で初めて実用化したことを明らかにした。

 

更に運転席 / 助手席からのタッチ操作を識別できる機能( Dual Touch )も世界で初めて搭載。1枚のディスプレイをあたかも別々の2枚のタッチ機能付きディスプレイのように利用することを可能にした「DualTouch 付き高画質 2VD 製品」も併せて開発した。

 

 

この2VD技術は、先の通り1つのディスプレイ上に見る角度によって異なる2つの映像を表示することができる技術だ。技術的には異なる映像表示についての目処をつけていたのだが、これまでは画質の向上が課題だった。

 

しかし同社のLTPSと液晶パネル光学技術を活用することで、大幅な画質の向上を実現できたという。

 

この技術の進歩を契機として今後、2VD の普及が進むことにより、ドライバーの安全運転をサポートする情報表示と、同乗者に対する大画面・高画質な映像表示を 1枚のディスプレイで同時に提供することが可能になる。

 

 

また車内ディスプレイが増加するに従い、インテリアデザインに制約を与えていた問題も、2VD の導入により解決する。ディスプレイ数を減らすことでシンプルかつ洗練されたデザインを実現し、新たなトレンドが創出できる可能性が広がった。

 

また2VD表示は、運転席と助手席それぞれに異なるコンテンツを表示できる一方、従来はタッチ機能がなかった。今回、開発品に搭載したDual Touchは、運転席側と助手席側のどちらからタッチ操作したかを識別する機能であり、2VD技術と組み合わせることによって 1枚のディスプレイをあたかも 2 枚の別々のタッチ機能付きディスプレイのように利用することができる。

 

 

なお現在、2025年以降に発売される自動車への搭載を目指し、世界各国の複数の自動車メーカーと商談を進めているという。

 

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同社が開発した2VDの仕様
項目____________同社従来品_本開発品
視野上の解像度(運転席/助手席)_88 ppi_171ppi
明るさ____________350nits_700nits
コントラスト_________350 : 1_1000 : 1
NTSC比___________70%___85%
タッチ機能__________無__Dual Touch

 

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同社は、自動車メーカーの皆様と共に、これまでにないレベルの安全性と快適性を追求し、世界中の車をより安全な移動手段にすることを目指すとした。

 

また、これらの技術は自動車業界だけでなく、空港などの交通機関での大型サイネージへの活用、視角制御によるセキュリティ強化、ゲームへの応用の可能性がある。

 

特に、高い位置にある大型サイネージでは、ディスプレイと人との距離に応じて角度が変わることを利用し、広告と離発着情報をより効率的に提供することが可能となる。従って技術の応用範囲は広く、多様な産業での活用を見込んでいる。

 

 

JDIではDual Touch 2VDが、ディスプレイの活用方法を大きく変える可能性を秘めた画期的な技術であると謳っており、今後は、個人、組織、そして全世界のクリエイティブコミュニティとのオープンイノベーションと協力を通じて、人々の日常生活を豊かにする新たなユースケースの探求を目指していくと結んでいる。

 

 

<問い合わせ>
https://www.webcoms.jp/jdi/jp/form.php?pid=524

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。