いすゞ自動車と日野自動車は、国産初のハイブリッド連節バスを共同で開発し、近日、両社より発売する。
また、次世代都市交通システム(ART:Advanced Rapid Transit)での活用を想定した連節バス用のITS技術も開発。今後、市場ニーズに応じて実装していく。
いすゞと日野は2017年から、環境負荷低減に寄与しながら安全かつ効率的な大量輸送を実現するハイブリッド連節バスと、早期の実用化を目指し、高度運転支援技術・ITS技術の共同開発を進めてきた。
今回両社で開発したハイブリッド連節バスは、日本の道路事情を踏まえた車両寸法とし、ハイブリッドシステムの採用により環境負荷にも配慮。
また先進安全装備として、路線バス世界初となる「ドライバー異常時対応システム(EDSS:Emergency Driving Stop System)」を搭載。安心・安全な交通社会の実現に貢献するとしている。
[車両の特徴]
・輸送性
定員120名(仕様により変更)の大量輸送能力。
・乗降性・バリアフリー
前車室はフルフラットとし後車室もノンステップエリアを広く確保するとともに、連節バスとして最適なシートレイアウトとしている。
・ハイブリットシステム
小排気量でありながら高出力・高トルクを発揮するA09Cエンジンを採用し、ハイブリッドシステムとAMTの協調制御による変速の最適化を図った。また、エンジンとモーターの間にクラッチを配置することでエネルギー回生効率を向上、またモーターのみによる発進を可能としたことで、省燃費と環境性能を追求した。
・ドライバー異常時対応システム(EDSS) <路線バス世界初>
ドライバーに急病などの異常が発生した際、乗客や乗務員が非常ブレーキスイッチを押すことで、減速して停止(※2)するドライバー異常時対応システムを装備。システムは、立席の乗客の安全性に配慮し、路線バスに適した制御としている。
※2:国土交通省策定「ドライバー異常時対応システム」技術指針に準拠。
[ITS技術]
・プラットホーム正着制御
路面上の誘導線をカメラで認識し、自動操舵、自動減速によりバス停へ誘導することで運転操作を支援。バス停側の対応とあわせて、隙間・段差を解消する。
・協調型車間距離維持支援システム(CACC/※3)
先行車の加減速の操作情報を通信で後続車に送ることにより、先行車との車間距離を高精度に制御し、無駄のない、スムーズな加減速を実現する。
※3:システムは自動車専用道路での使用を前提としている。
・衝突警報
ミリ波レーダーにより障害物および先行車両を検知し、衝突の可能性がある場合はディスプレイ表示や警報音でドライバーに警告する。
・路車間通信・車車間通信(※4)
バスの走行特性に対応した路車間通信(ITS専用周波数)による安全支援(赤信号注意喚起、赤信号減速支援、右折時注意喚起、信号待ち発進準備案内)や、バス優先の信号制御を行う高度化PTPS(公共車両優先システム:Public Transportation Priority System)に対応。
車群走行時には、車車間通信も活用し車群の構成や台数を把握し、車群単位での信号通過やバス停発車を支援する機能も備える。
※4:高度化PTPSを含む車群走行に対応したシステムは、トヨタ自動車も含めた3社共同開発。
・視覚支援カメラシステム
車両内外にカメラを設置、ドライバーはモニターで監視。車外に設置したカメラは、車両停止時に車両周辺の移動物を検知し、ドライバーにアイコンの点滅と音で警報を行う。