自動車や化学、医療等の計測機器の製造販売を行う堀場製作所(ホリバ)の英国子会社であるホリバMIRA社は、2月17日、自動車の開発エンジニアリング総合施設である「ASSURED CAV」に於いて、高精度なシミュレーションシナリオとエンジニアリングサービスの提供体制を整え、その本格稼働を開始したと発表した。
自動運転車(完全自律走行車)の実現に向けた開発が加速するなか、安全な走行を担保するため、より高精度なシミュレーションが求められている。
ホリバMIRA社では、英国が推進する“Midlands Future Mobility(MFM/※1)プロジェクトの下、複雑な条件下に於けるコネクテッド・自動運転車(CAV)や先進運転支援システム(ADAS)のシミュレーションシナリオの再現性と精度向上のため、実路走行とバーチャル走行の両方と相関するソフトウェア、モバイルファサード(可撤型疑似建築物)といった拡張機能の設計・開発を進め、効率的で高精度なエンジニアリングソリューションを強化。
開発エンジニアリング総合施設である「ASSURED CAV」に於いて、英国ミッドランド地域の約200マイルに及ぶ公道(高速道路含む)を、自動運転車両の試験走行路として使用している利点を活かし、高速道路を含む実路とバーチャル環境でCAVやADASの性能向上に必要なセンサー技術(LiDAR、レーダー、カメラなど)との連携に関する検証を重ねてきた。
そして今回、それぞれの環境に於いて、死角エリアや交差点、急な方向転換車両など危険で複雑な条件のシミュレーションシナリオが正確に機能することを確認し、これまで以上に高精度なシミュレーションシナリオとエンジニアリングサービスを提供できる体制を整えた。
ASSURED CAVでは、世界有数のユニークな自動運転車専用のテスト施設として、一般道で起こり得る多様なシナリオを再現するだけでなく、積極的にシミュレーションシナリオを開発することで、想定すべき状況を再現良く検証できるエンジニアリングサービスを提供。複雑なシミュレーション試験も1か所で行えるため、開発コストや時間の削減にも貢献すると云う。
※1)Midlands Future Mobility(MFM):コネクテッド・自動運転車(CAV)の開発を促進するZenzic(英国政府と業界によって2017年9月に設立)が主導するCAM(Connected and Automated Mobility)Testbed UKの一環として、英国政府等から資金提供を受けているプロジェクトで、ウェストミッドランドの公道200マイル以上に渡ってCCTV、気象観測所、通信ユニット、および高精度のGPSカバレッジを含むインフラストラクチャを設置し、CAM技術の包括的な開発環境を効率的に提供するエコシステム。ウォーリック大学のWMG、HORIBA MIRA、AVL、Transport for West Midlands、Vodafone、Costain、Amey Consulting、Wireless Infrastructure Group、Immense、Coventry University、National Highways などで組織されるコンソーシアムによって支えられている。