3社の合弁会社、ハンドルの無い「クルーズ・オリジン」で26年から
ホンダは10月19日、米ゼネラルモーターズ(GM)、GMクルーズホールディングスとの3社で合弁会社を設立し、日本で自動運転タクシーサービスを2026年初頭から始めると発表した。サービスはまず東京都心部から開始する。(佃モビリティ総研・松下次男)
自動運転タクシーサービスを行う合弁会社はホンダが過半を出資し、2024年前半に東京都内に設立する。使用するクルマは、3社が共同開発した運転席の無い、対面6人の乗りに「クルーズ・オリジン」。サービスはまず数十台からスタートし、500台規模で運用する計画だ。
同日、東京都内で記者会見したホンダの三部敏宏社長は自動運転タクシーサービスについて「すべてに人に移動手段を高い安全性で提供することを目指す」と述べたうえで、「先進モビリティ社会の実現に向けた大きな一歩」と強調した。
また、オンラインで参加したGMのメアリー・バーラ会長兼CEOはサービスについて「世界の移動手段大変革の一助になる」と語るとともに、合弁会社を設立して日本で実現することのなった自動運転タクシーサービスに対し「ポジティブなインパクトをもたらすだろう」と述べた。
自動運転タクシーサービスは、指定場所に迎えに来るところから、目的に到着するまで全て自動で行い、配車から決済までをスマートフォンのアプリで完結する。自動運転のカテゴリーでいえば、レベル4でのサービス運用だ。
三部社長はタクシー運転者不足などが叫ばれる中、身障者や高齢者をはじめとした全て人に「新たな移動の価値を、環境負荷ゼロで提要する」とサービスの意義を強調。
このために、まず東京都心で実績を残し、その後、幅広くサービスの活動領域を広げていく考え。また、サービス展開に当たっては「交通事業者や自治体など様々なステークホルダーと連携していきたい」と話す。
クルーズの自動運転技術を使った自動運転サービスはすでにサンフアンシスコを皮切りに米国の複数都市で実現しており、カイル・ヴォクト・クルーズ創業者兼CEOは「800マイルの実績を持つ」とアピールした。
日本と米国では車両の走行方法が右と左など交通条件が異なるが、ヴォクト氏は「シミュレーションで走行状態を検証している」と述べるほか、運用開始までにGMのEV(電気自動車)「ボルト」を使って実証実験などを行う方針などを示した。
運用開始時点はハンドルの無い自動運転専用車両の「クルーズ・オリジンで運用する」(三部社長)。
クルーズ・オリジンは上部構造をホンダ、駆動系などのプラットフォームをGM、自動運転機能をクルーズがそれぞれ開発、担当している。10月末に開催するジャパンモビリティショーでもホンダブースでオリジンを展示する予定だ。
GMは2016年、ホンダは2018年にクルーズに出資した。
法体系との関連では、今年4月にレベル4の自動運転が解禁されており、三部社長は次のステップとして「道路運送車両法に伴う車検を関係省庁と話しながらクリアーしたい」と話した。