日立製作所(日立)と日立オートモティブシステムズは、産業機器や自動車の自動運転用制御システムにおいて、システム上で動くソフトウェアを高速に変更できる技術を開発した。
同技術では、制御システムの機能変更や追加、また、万一の異常発生時に、ソフトウェアを高速に上書き修正し、システムを停止をせずに動作の継続が可能。産業機器や自動車の自動運転時の安全性や信頼性を向上する。
日本をはじめ、多くの先進国では、少子高齢化に伴い、労働力人口の減少や高齢者の移動困難などの社会課題が予測されており、産業機器や自動車の自動運転による課題解決が期待されている。中でも、自動運転の普及に向けては、さらなる安全性や信頼性の確保が重要となる。
その際、さまざまな外部環境の変化に応じた制御システムの機能変更や追加、また、万一の異常発生時の対応が必要となるが、従来の制御システムでは機能の柔軟な変更が困難だった。
そこで日立は、産業機器や自動車の自動運転用に、ソフトウェアにより制御システムの機能を柔軟に変更することができるミドルウェア技術を開発。
この技術では、制御システムの自動運転中に、外部センサーからの入力情報や、入力情報を判断し次の動作を決めるための計算値をバックアップ領域に保存。制御システムの機能を変更する場合には、バックアップ情報を用いて、入力情報の再生や、次の動作を決めるための計算値の上書き修正を高速に実施する。
この技術により、信頼性や安全性の高い自動運転の実現を可能とするとしている。
[技術の概要]
日立と日立オートモティブシステムズは、1/10スケールの実験車両で自動運転を模擬し、同技術を検証。
CPUの故障が発生し機能の変更が必要な状況を模擬するため、実験車両の試験走行時に、ソフトウェアの停止命令を発行し、疑似的に制御システムに異常を発生させても、ソフトウェアを修正して制御を開始するまでの時間が従来比約7倍に高速化し、安定した走行制御を継続できることを確認した。
今後、日立は、実証実験などを行い、同技術を産業機器や自動車などのモビリティシステムへの適用を目指す。また、日立オートモティブシステムズは、本技術を搭載した自動運転ECU(*1)の製品化について日立と連携して検討を行い、自動運転システムの普及拡大を目指すとしている。
*1:ECU (Electronic Control Unit):自動車制御に用いられるコントローラの略称。
[問い合わせ先]
株式会社日立製作所 研究開発グループ
■(日立)研究開発 お問い合わせフォーム:https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/hqrd/news/jp/form.jsp?__CAMCID=lknjlhToJY-387&__CAMSID=fOdDehgeoyIX-20&__CAMVID=eOddehgeoyix&_c_d=1&_ct=1544602915467