富士通は、理化学研究所(理研)と共同で、文部科学省が2021年から2022年頃の共用開始を目指して進めているスーパーコンピュータ「京」の後継機となるポスト「京」の設計を完了し、ポスト「京」のハードウェアを製造・出荷し、設置を進めることについて理研と正式契約を締結した。
また、ポスト「京」の開発を通じて培った技術を活用した商用スーパーコンピュータを製品化し、2019年度下期にグローバルに販売を開始する予定。
なお、ポスト「京」開発への取り組みについては、5月17日(金)に東京国際フォーラムで開催する「富士通フォーラム2019」で紹介する。
[背景]
「京」は、2006年から富士通と理研が共同で開発し、2012年に完成、共用を開始。富士通は2014年10月から、理研と共にその後継機となるポスト「京」の基本設計を開始し、様々な分野のアプリケーション開発者と協調設計(コデザイン)を実施しつつ、システムの詳細設計・試作を進めて来た。
[製造開始について]
昨年11月22日に開催された総合科学技術・イノベーション会議での、ポスト「京」の開発についての中間評価で、開発目標について達成の見通しが得られ、システムの設計結果に基づき製造・設置を着実に推進することが適当であると評価された。
これを受け、富士通と理研は、ポスト「京」のハードウェアの製造を開始し、順次、出荷と設置を進めていくための正式契約を締結。
ポスト「京」のハードウェアの製造は富士通のコンピュータシステムの基幹工場である富士通ITプロダクツ(石川県かほく市)で行い、現在「京」が設置されている理化学研究所 計算科学研究センター(所在地: 兵庫県神戸市)へ設置する。
[ポスト京の特長]
ポスト「京」は、富士通が開発した高性能CPU「A64FX」を搭載。Arm命令セットアーキテクチャーにより幅広いソフトウェアに対応する汎用性を持つほか、超並列、超低消費電力、メインフレームクラスの高い信頼性などを実現すると云う。
また、富士通はハードウェアの開発・製造とソフトウェアの開発において、オープンソースコミュニティと連携して、Armエコシステムの推進、ポスト「京」でのオープンソースソフトウェアの活用、ポスト「京」で創出された成果の展開などを進めていくとしている。
[今後について]
富士通は今後、ポスト「京」の開発を通じて培った技術を生かして、商用スーパーコンピュータの製品化を行い、「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX100」の後継機として、2019年度下期にグローバルに販売を開始する予定。
さらに、より幅広く同技術を展開するために、導入しやすいエントリモデルの開発や他ベンダーへの供給なども検討するとしている。
<FUJTISU Supercomputer PRIMEHPC FX100後継機の主な仕様>
※ 開発中のため、仕様などは予告なく変更されることがある。
■理化学研究所 計算科学研究センター:https://www.r-ccs.riken.jp/jp/