富士通セミコンダクターは、台湾のE Ink社と共同で、電子ペーパーディスプレイの表示をUHF帯無線給電により、バッテリーレスで書換えることが可能な技術を開発した。
近接通信のNFCと違い、このUHF帯技術の使用により、従来密着のみであったデータ書換え時の通信距離を大幅に改善。電子ペーパーとUHF帯RFIDを組み合わせた新たなアプリケーションの創造が期待できると云う。
このバッテリーレス電子ペーパータグ新技術は、富士通セミコンダクターのバッテリーレスソリューション向けの UHF帯 RFID LSI「MB97R8110」によって実現。MB97R8110のユーザーメモリ領域には、不揮発性、高速書込み、低消費電力を特長にもつFRAM(注1)が使用されている。
従来の電子ペーパータグは、あらかじめ内蔵メモリに保存されたデータを表示するだけだったが、FRAMの使用により、画像データを任意に転送、かつ短時間で書換えることを可能とした。
加えて、バッテリーレス電子ペーパータグを容易に開発するため、E Ink社と共同開発したリファレンスボードの提供も開始する。
同社は、この新技術を電子タグや物流ラベルに適用することで、離れた位置から目に見える情報の書換えが可能となり、さらにUHF帯 RFIDの通信距離で商品情報などのデータの一括読み出しが可能なため、作業時間の短縮と利便性の向上を実現するとしている。
また、そのターゲットアプリケーションとして、物流ラベル、電子かんばん、電子ペーパータグ、電子ペーパー名札、IDカード、電子棚札などを挙げている。
富士通セミコンダクターは、バッテリーレス機能と相性の良い不揮発性メモリのFRAMを組み合わせ、バッテリーレス無線でのデータストレージを可能とし、これにセンサーや制御機器を連携させることで、産業界へ新たなイノベーションを起こすとしている。
また、「UHF帯RFID バッテリーレス電子ペーパータグ技術」が、同時に開発している「バッテリーレス無線キーボード/リモコン技術」と共に、IoT時代の新たなFRAMの用途の一つとなるよう、今後のビジネス展開を図る。
なお、今回発表のバッテリーレスソリューションは、10月16日(火)から19日(金)に幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2018」のE Ink Japanブース(C005)で展示される。
注1)FRAM(Ferroelectric Random Access Memory):
強誘電体メモリ。強誘電体膜をデータ保持のキャパシタに利用したメモリ。電源を切っても内容を保持する。データの高速な書込み動作、低消費電力、書換え回数が多いといったROMとRAMの長所をあわせ持つ。FeRAMとも呼ばれる。当社では、1999年より量産開始。
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