富士通と富士通アメリカ(Fujitsu America)は、米国のフォードモーター(Ford Motor)のグループ会社で、コネクテッドカーのプラットフォームを開発するオートノミック社(Autonomic/カリフォルニア州)と、先進的なモビリティサービス提供に向けて協業することで合意した。
自動車業界では現在、コネクテッドカー、自動運転、シェアリングサービス、電気自動車などの登場により、MaaS(Mobility as a Service/※)と呼ばれるサービス起点のビジネスモデルへの移行を視野に、車から得られる情報や交通状況などの膨大なデータの処理を素早く柔軟に行うことができるモビリティサービスプラットフォームへの要求が高まっている。
オートノミック社は、オープンクラウドベースのプラットフォーム「Transportation Mobility Cloud」を、自動車メーカーやモビリティサービス事業者に提供。
Transportation Mobility Cloudは、自動運転車の走行ルートや大規模な車両の管理、輸送計画のサポートなどを行うアプリケーションに必要な構成要素のデータ提供や、コネクテッドカーや公共交通機関などの都市のモビリティシステムに関する様々な要素をつなぎ、より安全で効率的、持続可能な交通ネットワークの実現に貢献していると云う。
今回の協業を通じて3社は、富士通が保有するデータ処理を継続しながら処理内容の追加・変更の実行ができるストリームデータ処理技術「Dracena(ドラセナ)」等のデジタル技術と、オートノミック社が保有するモビリティに特化したクラウドサービスを組み合わせ、シェアリングや電気自動車、自動運転のためのモビリティサービスをフォードに提供。その後、世界中の自動車メーカーに展開していくとしている。
3社の協業に際して、富士通執行役員常務の東純一氏は、以下のように話している。
「モビリティの未来を実現するために、Autonomicとの協業関係構築により一層注力していきます。富士通は知識、専門性、技術を軸によりよいソリューションを生み出すための共創を大切にしてきました。この共創は、私たちのビジョンであるヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティを実現し、より安全で持続可能な世界を次世代に残すことにつながると考えております」。
オートノミック社CEOのギャヴィン・シェリー氏は、以下のように話している。
「MaaSをよりスピーディーかつ簡単に自動車業界にもたらすことができる富士通とのパートナーシップを嬉しく思っています。Autonomicのプラットフォームと富士通のデジタル技術のイノベーション、自動車分野におけるシステムインテグレーションの専門性を合わせることで、新規マーケットに参入しようとする自動車メーカーをサポートし、ビジネスの成功につなげられると信じています」。
また、フォードモーターVice Presidentで、Mobility Platforms and Productsのリッチ・ストレーダー氏は、以下のように話している。
「スマートシティを実現するビジネスモデルへの変革を進める中、Autonomicと富士通のパートナーシップは、我々の戦略をパワフルに実現してくれます。両社の業界のノウハウ・技術的な専門性・ワールドクラスの技術により、包括的で実用性のあるモビリティアプリケーションの提供を推進していくことを期待しています」。
※)MaaS:従来のような車の個人所有に代わり、移動手段を必要な時にサービスとして利用すること。
■Autonomic:https://autonomic.ai/