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2024年10月31日【IoT】

エレクトロビット、Rustのサポートを提供へ

坂上 賢治

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自動車業界向けのコネクテッドソフトウェア製品を提供するエレクトロビット(EB)は10月30日(ドイツ・エアランゲン発)、オープンソースコミュニティのダイナミズムを取り込むべく、AUTOSAR準拠のベーシックソフトウェアEB tresos AutoCoreの実装に於いて生産性とサイバーセキュリティの強靭性を向上させるプログラミング言語「Rust」のトップレベルサポートの提供を開始した。これによりASIL-Dの機能的安全性に準拠しながら、サイバーセキュリティの強化が可能になる。

 

これは、ECUプロジェクトに於いてRustの評価の加速と新たな製品機能の活用と専門知識を提供するものであり、エレクトロビットのコミットメントである「Cloud to cockpit(クラウドからコックピットまで)」を示している。

 

より具体的には、開発者の間でRustがますます普及、評価、支持されるようになる中で同社は、EB tresosがRustでのアプリケーションソフトウェアコンポーネントの統合に対応していることを確認。これを踏まえC言語とRust言語両方に対応したAUTOSARアプリケーションSWCのシームレスな統合と、開発者向けの使い易い言語バインディングを提供する。

 

上記を踏まえて製品ラインの一部としてRustのトップレベルのサポートを整備。これには慣用的なコードの生成も含まれ、より容易かつ迅速な開発を可能にする手段も含まれる。結果、より安全でセキュアなアプリケーションが実現できたことになる。

 

またビルドシステムでは、Rustの静的コード解析ツール 「Clippy」をサポートしており、開発者がすぐに効率的に作業を開始できるよう、使用言語に応じたアプリケーションをビルドすることができる。

 

そもそも、もはやサイバーセキュリティはIT業界の流行語ではない。UN規則155やEUサイバーレジリエンス法は、サイバーセキュリティの重要性に対する認識が高まっていることを示しているし、政府機関は、「メモリが安全でないプログラミング言語 」を使用しないよう業界に対して強く求めている。

 

複数の研究によれば、脆弱性の約70%が 「メモリの安全性の問題 」に起因することを示している。これは自動車がより多くのソフトウェア機能を実装し、インターネットのオンラインサービスが普及するソフトウェア定義型モビリティの時代に置いて、明らかに重要な意味を持つ。

 

絶対性能、メモリ安全性、安全な並行性を目指して設計されたマルチパラダイムのプログラミング言語Rustは、C言語、C++に代わるシステムプログラミング言語を目指して2006年に始動。2015年にはバージョン1.0がリリースされ、メモリ安全性の問題、コードの正確性、プログラミングの生産性に取り組むと同時に、ハードウェアのコストの安定を維持してきた。というのは既存のCコードと新しいRustコードを組み合わせることが可能なため、既存のコードベースを拡張するための理想的な選択肢となっているからだ。

 

エレクトロビットのシニアエキスパートであるFlorian Bartels氏は、「Rustを使用することで、我々のチームの生産性は大幅に向上し、同時に、Rustのcorrect-by-design(正確性を重視した設計)アプローチにより品質が向上しています。機能安全を背景に依然として人気のあるCプログラミング言語と比較しても、Rustには半世紀にわたる教訓が取り入れられています」と述べた。

 

加えてFerrous Systemのマネージングディレクターで創立者でもあるFlorian Gilcher氏は、「エレクトロビットが、オープンソースでISO 26262認証済のRustコンパイラツールチェーンであるFerroceneを採用し、EB tresos上でClassic AUTOSARのメモリセーフプログラミングを実現したことを嬉しく思います。

 

Ferroceneは、Rustのバグを排除する特性を活用することで安全規格への準拠を確保しており、開発者は機能に集中できるようになります。このソリューションは、より安全で信頼性の高いクルマを実現するプログラミングイノベーションの重要なステップです」と語っている。

 

なお、このソリューションには、コードの自動生成、Rustコードのコンパイル、静的解析が含まれ、エラー処理を簡素化し、自動車分野とそれ以外の分野向けのOSとミドルウェアのサポートも提供される。

 

EB tresos AutoCoreは、Rustコードのネイティブサポートを提供し、シームレスな統合と、より耐障害性の高いコード作成を可能にする。Rustコンパイラがコンパイル時に問題を検出し、(Rustの「unsafe」キーワードを使用する場合でも)自動チェックが難しいコード量を抑えることで、コード構築コストの削減、市場投入までの時間短縮、脆弱性が残るリスクの低減も実現する。

 

今回のサポートにあたりエレクトロビットは、実践型のセッションでより詳しい背景情報を説明する導入ガイドを提供する。この有料ワークショップは、今後のECU開発に於いてRustを評価できるよう、知識、実践事例、新製品の機能説明を組み合わせて構成・提供される。そんなEB tresosの詳細とエレクロビットのRust採用については、右記URLを参照されたい。 https://www.elektrobit.com/jp/products/ecu/eb-tresos/bsw/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。