NEXCO中日本は2月24日、グループ会社である中日本高速技術マーケティングが、ナカボーテックと共同で、ユニット化された部材を取り付けるだけで約30年間の塩害劣化を抑制できる線状流電陽極方式の電気防食工法「NAKAROD®(ナカロッド)」を開発したと発表した。
■開発の背景
海岸線付近に近い東名の由比地区や西湘バイパスなどのコンクリート構造物は、海から飛来する塩分の影響で、コンクリート中の鋼材(鉄筋)の腐食が進行し、耐久性が徐々に低下していく。また、積雪寒冷地でも多量の凍結防止剤(塩化ナトリウム)の散布により同様な塩害が発生している。このようなコンクリート構造物(主に橋梁)の塩害による鋼材の腐食進行を抑制する工法の一つとして、現在、電気防食工法を採用している。
電気防食工法は、コンクリート表面に設置した陽極システムから鋼材に対して防食電流を供給することにより、塩害環境であっても、鋼材の腐食進行を抑制する工法。電気防食工法には、外部から電源を引いてきて、専用の直流電源装置を用いて防食電流を供給する「外部電源方式」と、コンクリート内部の鋼材と犠牲陽極材のイオン化傾向の差によって生じる電流を利用する「流電陽極方式」がある。
一般に電気防食工法は、「外部電源方式」が採用されることが多く見られるが、「外部電源方式」は、商用電力などを電源として用いるため、安定した防食電流が長期間にわたって得られる半面、防食期間中は常に給電が必要で直流電源装置などの設備が大がかりになるとともに、防食電流の調整には専門知識を有する技術者が必要となるなど、メンテナンスにおいて大きな負担があった。
一方、直流電源装置が不要となる「流電陽極方式」は、設備などのメンテナンスが軽減されるが、確実な防食を確保するための陽極システム(犠牲陽極材)の調整が難しく、犠牲陽極材の寿命も短いことが課題だった。
そこで新たに開発した工法では陽極システムをユニット化し、簡単に取り付けられるようにするとともに、犠牲陽極材を厚くすることで長寿命化を実現した。
■技術の特徴
ナカロッドの特徴は以下の通り。
1)電源がいらない電気防食でメンテナンスの省力化
「流電陽極方式」を採用しているため外部電源が不要になる。また本工法は約30年間の腐食防止が可能であるため、設置後のメンテナンスが大幅に省略される。
2)ユニット化により設置が簡単でコスト削減
耐食性、耐候性に優れたFRPトラフに電解質層と犠牲陽極材をユニット化し、コンクリート表面に設置することで迅速に施工でき、コスト削減が図られる。
3)目視によるコンクリート表面の点検が可能
コンクリート表面を覆っていた従来の面状流電陽極方式とは異なり、線状流電陽極方式※2を採用しているため、コンクリート表面の変状を目視点検することが可能となる。