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2024年10月29日【IoT】

デンソー、米クアドリックとAI半導体の開発へ

坂上 賢治

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デンソーとQuadric.inc(クアドリック/本社:Burlingame, CA、共同創設者兼CEO:Veerbhan Kheterpal)は10月29日(日本時間)に、AIの演算処理に特化した半導体のひとつであるAIの演算処理に特化したプロセッサーNPU(Neural Processing Unit)に関する開発ライセンス契約を締結した。

 

この契約締結により、デンソーはクアドリックのChimera GPNPU(Chimera General Purpose Neural Processing Unit/Quadric.incのプロセッサーアーキテクチャの名称)のIPコアライセンスを取得し、両社で車載用半導体IP(NPU)の開発に取り組んでいく。

 

自動運転やコネクティッドなど、クルマの知能化の進展に伴い、クルマは車載センサーから得た膨大な情報の他、車間・クラウドとの通信から得た情報をリアルタイムで処理する必要がある。そのために大量の情報を高速に効率よく処理できる車載SoC(System on a Chip/複数の機能を集積し、システムとして機能させる集積回路)の性能がますます重要となってくる。

 

 

デンソーとクアドリックは、これまでも車載SoC向けにChimera GPNPU(General Purpose Neural Processing Unit)を用いた半導体IPの開発を検討してきたが、このたび、デンソーのRISC-V(ISA/オープンな仕様のもと、誰もが自由に扱える命令セットアーキテクチャー)ベースのプロセッサーとクアドリックのChimera GPNPUを組み合わせた車載用半導体IP(NPU)の共同開発を正式に進めていくことを決定した。

 

デンソーのRISC-VベースのプロセッサーIPは、ISO26262のASIL(Automotive Safety Integrity Level/自動車安全水準):Dに対応しており、安全性の確保が重要となる自動車に最適化されている。

 

しかし今後クルマの知能化が進むとAIがクルマの価値を左右する鍵となる。クアドリックのChimera GPNPUは、行列演算とベクトル演算、およびスカラー(制御)コードを1つの実行パイプラインで処理できる特有のアーキテクチャー(設計構造)を持つことで、多様な演算処理にフレキシブルに対応できるため、様々なAIに適用可能。

 

またChimera GPNPUを用いることで、車載製品のシステム開発者は将来にわたり独自のAI機能を追加することができる。

 

デンソーとクアドリックは、新たな半導体IP(NPU)の共同開発を進めることにより、製品開発からリリース後まで、長期間に渡るAI潮流の変化に柔軟に対応可能な車載SoC実現へ貢献すると共に、より安全性の高いAD/ADAS(Autonomous Driving/Advanced Driver Assistance System/自動運転/先進運転支援システム)製品の開発を推進する。そして、半導体技術の開発を通じて進化を続けるモビリティ社会を支えていくと結んでいる。

 

<両社コメント>
株式会社デンソー モビリティエレクトロニクス事業グループ長 近藤浩氏 :
デンソーは、高度で多様な技術を組み合わせシステム化する力を用い、モビリティとつながる社会システムを発展させ、脱炭素や循環経済、交通事故死亡者ゼロなど、複雑化する今後の社会課題を解決していきます。その中で、クルマの知能化に向けたコンピューティング基盤の根幹となる半導体は強化する事業の一つです。このたび、クアドリックのChimera GPNPUを活用することによりAI潮流に柔軟に低電力で対応できる車載向け半導体IPを開発に取り組んでいきます。

 

Quadric.inc Veerbhan Kheterpal, CEO:
世界的に著名なTier1自動車部品サプライヤーとして知られるデンソーは、当社の技術を徹底的かつ厳格にベンチマーキングした上で、ADAS/ADプロセッサーIPの最適なパートナーとしてクアドリックを選定しました。このことは、当社のChimera GPNPUが継続的に成熟し、その幅広い応用性が認められたことを示す素晴らしい証だと考えています。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。