デンソーは9月27日、車両周辺の歩行者や自転車を認識・安全運転支援に貢献する、検知角度のさらなる広角化を実現した画像センサーを開発したと発表した。この新型画像センサーは、スバル(SUBARU)が4月に発表した「アウトバック」(北米仕様)の一部グレードや、9月15日公開の新型「クロストレック」(日本仕様)(*1)に採用されていると云う。
日本では、道路脇からの飛び出しによる交通事故が、全歩行者の交通事故のうちの約3割、ことに12歳以下の子供に限っては約7割をも占めると云う(*2)。
子供の小さな体や、スピードが出た自転車の飛び出しは、ドライバーが見落としやすく、また気付いても対応が間に合わずに飛び出し事故につながってしまうケースがあることから、近年、欧州の新車アセスメントプログラム(Euro NCAP)でも、道路脇などからの飛び出し検知に対する重要性が年々上昇。
デンソーは、このような背景も踏まえ、画像センサーのさらなる広角化に挑戦。低速走行時の横断自転車の検知性能を“Euro NCAP”が定めるアセスメント条件(*4)に対応できる性能にまで向上させられる、検知角度128度(*3)の画像センサーを開発した。これにより、自動車・二輪車・自転車・歩行者が様々な速度で交わる交差点周りなどでの飛び出し事故の防止に貢献すると云う。
新製品ではさらに、危険につながらないような対象物の過敏な検知、例えば、横断しようとする自転車を検知したものの、自転車がブレーキをかけて停止したため、衝突することなく通り過ぎることができるシーンなどで、衝突回避の自動ブレーキが作動してしまうなど、ドライバーにとって不快なだけでなく、予想外の車両の動きによる別の危険が発生する可能性もある状況に於いても、AI技術を用いて時系列での動きを推定。実際に危険に至るかを見極め、不要な車両の動作の発生を抑えることで、広角化のメリットと実用性の両立を実現している。
デンソーが開発した新たな画像センサーと一般的な製品(検知角度100度)を比較したイメージ図。検知角度が128度まで広角化することで、より早く横断自転車を検知することが可能となる。
*1:スバル新型「クロストレック」(日本仕様)は今秋正式発表予定。
*2:(公財)交通事故総合分析センター「2019年版 交通統計」歩行者(第1当事者)の違反別・年齢層別交通事故件数より。
*3 検知可能角度は当社測定によるもの。
*4 自車が10km/h走行時に20km/hの自転車が横断するシーンにおける危険検知のアセスメント条件。画角的に難しい条件とされているが今回の広角化により対応。
■(スバル)アウトバック(北米仕様):https://www.subaru.co.jp/news/2022_04_13_162959/
■(スバル)新型クロストレック(日本仕様):https://www.subaru.co.jp/news/2022_09_15_150743/