ディー・エヌ・エー(DeNA)は10月5日、使用環境により変動するEVの実用航続距離を予測するシステムを開発したと発表した。これにより対象車両の実用航続距離を「見える化」、このEV導入支援ソリューションをもとにマーケット開拓を目指す。
地球温暖化対策やSDGsという社会の流れを背景に、ガソリンエンジン車からEVへの転換を促す社会潮流が顕在化してきた。そうしたなかで自治体や企業などでのEVの導入動機も高まっている。
しかし一方で日本国内に於いては、車両導の入コストや(蓄電池を搭載しているゆえに車両価格自体が高い)、そもそも搭載されている蓄電池そのものの利用上の耐久性の問題(時間を追う毎に蓄電容量が低下する)、更に航続距離自体が短い、また予測し難いといった課題から、その普及の進展は遅れている。
上記のなかでも特に航続距離に係る課題については、エアコンの使用を筆頭に、外気温に係る蓄電池性能の低下、走行条件によっては回生能力が低下するなどの使用状況、充放電回数などの諸事要件により性能が大きく変動する。
この事から、実用性能の把握が困難である事自体が、法人に於いてEV導入時の大きな障壁のひとつになっている。
そこでDeNAは今回、特に法人のEV導入に係る車両導入決定を促すべく、EVの実用航続距離を予測するシステムを自社で独自開発した。その予測測定の仕組みは、先ず、既存車両の管理情報(車検証情報、定期点検履歴など)や用途から、車両毎に異なる使用環境を推定する。
次に、推定された使用環境下でEVが走行した場合の性能悪化要因と、その影響度を総合的に解析した上で、バッテリー劣化による将来の車両性能変化も加えて、実際のEV導入後の実用航続距離を予測・提案するという格好だ。
このDeNA独自の予測を、顧客対象の法人へ提案する事により、異なる車両用途や使用環境下で様々な走行データが出がちなEVに対して「期待される実用性能を発揮できるのか否か」といった車両導入に係る判断基準を提案する。
ちなみに対象車両は、車両独自のデータ抽出手段(コネクテッドカーなどの完成車メーカーの独自のデータ抽出ルート)に依存しないため、ほぼ全ての既存車両での予測が可能だという。従って汎用性の高いEV導入支援ソリューションとして提供できると結論付けている。
今後DeNAは、この独自システムを様々な自治体や企業に提案していく事を通じて、国内で根強い内燃エンジン車の維持・継続行動に対してEV転換を勧めるなどしていく事を狙う。
また自社システム導入後の顧客に対しては、自動車メーカーのコネクテッドサービス、フリート管理サービス、カーシェアリング、エネルギー、保険など、各種サービスと連携させて自社サービスの利用価値を高めて自らの立ち位置を確保。結果、2050年のカーボンニュートラル実現にも貢献していきたいとしている。