独・ダイムラーAG傘下のメルセデス・ベンツは、先の9月にフランクフルト国際モーターショー(IAA)で披露した自動運転技術をさらに磨くため、現行のSクラスベースのテスト車両を、世界五大陸の複雑な交通環境下で走らせている。( 坂上 賢治 )
この同社による現フェーズ「Intelligent World Drive」によるテストドライブは2018年1月まで続く予定で、これにより目下最新鋭とされる自社開発システムの限界を洗い出す構えだ。
特に今回、実証実験を開始した南アフリカのケープタウンでは自律走行車に対する課題が数多いのだと同社では語っている。
というのは当地は該当の都市圏内に於いて、「路面状況がめまぐるしく変わること」、「郊外で、頻繁に車線が交差する道路環境であること」、これに加えて「野生生物が突然の出現すること」、「都市中心部では数え切れないほど多くの歩行者が通行していること」、そして農村部に於いては「交通標識や道路環境に関わらず、自由に横断しようとする歩行者の動き」など、自動化及び自律走行を目指す車両は、これら全ての環境変化に対応し誰もが納得できる対処方法を学ばねばならないからだ。
併せて実証実験に望む対象車両は、当地での実験のみならなず五大陸それぞれの国固有の道路標識を実際走行下で検出・収集するべくヒアのデジタル地図情報を検証し、ダイムラー独自の照明システムなどのプロトタイプ装備のテストなども検証していく。
ちなみに当地、南アフリカの都市ケープタウンでは、市街地であろうと郊外であろうと、道路上には多くの歩行者が存在する。
また当地の歩行者は、しばしば車線を横断するという予期せず行動を見せるだけでなく、密集したダウンタウンでの道路は、地域の生活環境の場としての側面を持っている。従って自律走行を目指す実証車両にとって、当地の対処は他の地域にない程、精密な仕事が要求される。
実際、当地で発生する交通事故は多く、例えば2016年には約5,410人の歩行者が道路上の交通事故で死亡している。しかもこの数値は道路交通死亡者の38%を占めているのだ。
こうした当地の生活者の道路上での行動を踏まえて自動運転を行うことは、車載センサーにとって高度な認識レベルを求められることを意味し、自律走行システムにも当地特有の課題が浮き上がってくる。
カメラやレーダーシステムは、通行人を素早く的確に検出し、その動きを正確に解釈して、車両の動きを数ミリ秒単位で対応させることが要求されるからだ。( MOTOR CARS より転載 )