第一交通産業 (以下、第一交通)と電脳交通 、そして日本電気 (以下、NEC)の3社は3月13日、地方の交通課題解決に向けた業務提携に関する基本合意書を締結したことを発表した。これを通じて、バス・タクシーの自動運転技術を活用した新しいモビリティサービスを展開し、地方の公共交通に於ける利便性確保という課題の解決を目指す。
提携の背景は、現在、少子高齢化に伴う運転手不足等により、全国的に公共交通の利便性の確保が課題に浮上しているため。この課題解決に向けて3社は、第一交通が有するバス・タクシー等の顧客基盤と、電脳交通が有する配車に関するシステムやノウハウ、NECが有する自動運転に関する技術やソフトウェアを掛け合わせることで、地域公共交通の維持・確保に向け自動運転を活用した新しいモビリティサービスの展開を目指す。
今後の取り組みについては、将来の道路運送車両法のレベル4認可を取得した自動運転バス・タクシーの全国導入に向け、先ずは2024年度内に沖縄県で自動運転バスの実証実験を実施(予定)し、自動運転技術、運行・配車や遠隔監視のオペレーション体制などで課題・受容性等を検証する。上記に係る各社のコメントは以下の通り。
第一交通産業 代表取締役社長 田中 亮一郎氏
「第一交通グループは、地域の交通事業者として地域交通を維持・発展させる役割を担い、地域住民の方々やその地域に来訪される方々の移動の確保に努めてまいります。デジタル領域のソリューションを有効活用しながら、今まで築き上げてきた運行業務を基に『安心』『安全』を前提に、地域に根付く形でサービスを提供してまいります」。
■電脳交通 代表取締役社長 CEO 近藤 洋祐氏
「電脳交通は、第一交通産業社、NEC社と協同で自動運転技術を活用した、地域交通領域の課題解決を目指した実証事業を行います。昨今社会問題化しております旅客事業の担い手不足による交通空白地域及び時間帯が発生する問題の解消に向け、本実証実験に寄せられる期待は大変高いと感じており、実証実験に留まることなく、将来的に人々の生活を支える交通インフラとして定着するよう、事業づくりを進めてまいります」。
■NEC Corporate SVP 井手 伸博氏
「NECは、強みであるソフトウェアの開発技術を活用して自動運転領域に注力し、地域の移動課題解消や経済活性化の実現に貢献することを目指してまいります。今回の基本合意書締結を通じて、NECが有する予約管理や遠隔監視などの自動運転関連技術、第一交通社が持つバス・タクシーの運行実績・ノウハウ、電脳交通社が持つ交通事業者向けのDX技術を掛け合わせることで、地域に根差した安全・安心な自動運転技術のサステナブルな社会実装を推進してまいります」。