GM傘下のクルーズ社は、米国内有数の交通研究機関のひとつのミシガン大学交通研究所(UMTRI/ミシガン・トランスポーテーション・リサーチ・インスティテュート)と、自動運転車に係る公平なベンチマーク(安全基準)を設けるべく提携。今年9月27日に、サンフランシスコの配車ドライバーの運転行動に焦点を当てることで割り出した2年間の調査結果の概要を発表した。( 坂上 賢治 )
同調査・研究は、ゼネラルモーターズ及びバージニア工科大学交通研究所(VTTI)と協力して実施され、この成果は今後も、クルーズ・ブランドの無人運転車両に対して安全性に係る尺度として活かされていく。
なお同研究の結果によりクルーズ社は、当初から発表していた100万マイルもの走行レポート(今年4月28日)の安全性について、詳細なデータ分析を介して正確に割り出すことができるようになったという。また今回、調査対象となった配車ドライバーと比較して自社の自動運転車が以下の安全運行に寄与していたと推察している。
– 全体的に衝突が 65% 減少。
– 主な要因として衝突が 94% 減少。
– 重大な傷害のリスクを伴う衝突が 74% 減少。
この研究は、過去2年間に亘って実施され、一部の高速道路 (時速35マイル以上など)を除く、サンフランシスコ市内の560万マイルに亘るライドヘイリング・サービスに係る運転データを詳細に観察・調査したもの。
UMTRIの大規模車両調査とVTTIの精密機器調査から収集されたデータ統合に基づき、両大学の研究者らは、ライドヘイリング時の安全値を正確に示すことができたのだ。
同調査に係る関連論文を発表したUMTRIのキャロル・フラナガン博士は、「これまでの自動運転車に係る研究に欠けていたのは、入手可能かつ膨大な走行データばかりを一心に集め続けることではなく、人の運転による安全性を数値として正確に捉えた調査結果にあったのです。そして、これが自動運転車が実運行に於いて達成するべきベンチマークとなるのです。
今回、ゼネラルモーターズ並びにクルーズ社の支援により、我々UMTRI内の研究者らは、人の運転から割り出した画期的なベンチマーク生成手法を、ようやく手にすることができました。
これはまさしく自動運転車にADS導入した時に匹敵する程の事件です。私たちは、複雑な都市環境に於ける配車ドライバーの運転行動をつぶさに調査・研究しました。それが今後は、自動運転車によるパフォーマンスのベンチマークとして有用に活用することできます」と述べた。
一方で、クルーズの安全担当副社長のルイーズ・チャン氏は、「この研究により我々は、配車サービスに於けるドライバーの運転習慣について、真の洞察結果を手にすることができました。
それは安全な自動運転車の広範な導入へ活かすことができ、全ての人にとって、道路をより安全にするという私たちの終わりなき探求の道程に於いて、莫大な価値をもたらします。
当社は、この度のUMTRIとVTTIの学術に取り組む誠実さと、生みだした革新的な成果に感謝の意を表します。この研究は、安全性に対するクルーズの長年に亘る取り組みを裏打ちするものとなりました」と語っている。