クラリオンは、独自の外界認識技術、コネクテッド技術、ナビゲーションシステムの開発で培った位置情報制御技術、HMIと、日立オートモティブシステムズのステアリング、ブレーキなどのアクチュエーターを制御する車両統合制御技術を連携させ、自動車の自動遠隔出庫システム「ロング・レンジ・サモン(Long Range Summon)」を開発した。
ロング・レンジ・サモンは、長距離の自動遠隔出庫システムで、独自の自動駐車システム 「Park by Memory(*1)」の低速自動運転技術のセンサー機能を強化した「センサーフュージョン技術」、また、TCU(*2)とSmart Access(*3)サーバーを活用した「コネクテッド技術」およびナビゲーションシステムの「位置情報制御技術」を統合した「コネクテッド技術と位置情報制御技術の統合技術」により実現。
自動遠隔出庫は、具体的には、以下のような流れで行われる。
(1)入庫時に駐車に至る場内の周辺環境や経路、外界情報を記憶。
(2)出庫時ドライバーが、スマートフォン上の車両呼び出しボタンを押下すると、スマートフォンの位置情報と車両の記憶情報を元に自動出庫を開始。
(3)センサーフュージョン技術を基に走行可能領域を特定し、ユーザーの待機位置まで駐車場内を自動走行。
なお、走行経路上の障害物は、センサーフュージョン技術により回避される。また、今回導入したサーバーは、認証と出庫要求通知機能のみで構成されるが、他車両の監視や車両運行制御を行う管理機能の追加もできると云う。
想定される使用場面は、海外の大規模駐車場など。入庫時に記憶させた駐車環境をベースに、ユーザー位置までスマートフォンで自動で呼び寄せることができるため、建物の出入り口など人目に付く場所で乗車することによる防犯効果や、低温時や荒天時の寒さや濡れる事を防ぐなど、ドライバーに快適な環境を提供する。
クラリオンと日立オートモティブシステムズは、これまで自動駐車システムとして、車両の脇でスマートフォンを用いて自動車の駐車を自動で行う「リモートパーキングシステム」、自宅などの駐車場の周辺環境と経路を記憶&再生して自動駐車する 「Park by Memory」を開発。
今回、これまでの自動駐車技術をベースに、中・長距離の自動出庫技術を開発。同技術の実用化に向け、今後さらなる技術向上に取り組んでいくとしている。
*1 Park by Memory:車両の前後左右に装着したクラリオン独自のカメラシステム 「SurroundEye」による俯瞰映像と、ソナー信号による周囲構造物の検知情報、さらにGPSによる位置情報を統合することで、駐車周辺環境と駐車パターンを記憶し自動駐車を実現するシステム。
*2 TCU(Telematics Control Unit) : 携帯電話網と接続する車載通信装置。
*3 Smart Access : 安心安全・快適・便利なドライブを提供するための、クラリオン独自の情報ネットワークサービス。車両とSmart Access とをスマートフォン等で「つなげる」ことで、クラウド連携を始めとした様々な技術により、付加価値サービスを提供。