ウー・カイ博士、CATL 首席研究員
1000kmの航続距離と4C超高速充電を可能にするShenxing PLUSを発表
CATLは4月26日、4C超高速充電で1000kmを超える航続距離を実現する世界初のLFPバッテリー(リン酸鉄リチウムイオン電池)、Shenxing PLUSを発表。同社では2023年8月にShenxing超高速充電バッテリーを発売してから8カ月で、CATLは再びLFPバッテリー技術の限界を押し広げたと謳っている。
CATLによると、Shenxing PLUSバッテリーは1000kmを超える超長距離走行体験をユーザーに提供する。これは途中で充電せずに北京から南京まで移動できることを意味する。これにより、新エネルギー車は都市部での通勤ニーズに応えるだけでなく、省間の長距離移動にも対応できるようになった。
その性能の背景は、Shenxing PLUSのカソード(陰極)をナノメートル単位の粒子を最適な位置に配置する粒状グラデーション技術で実現させたもの。独自の3Dハニカム形状の材料がアノード(陽極)に添加され、充放電サイクル中の体積膨張を効果的に制御しながらエネルギー密度を向上させる。
CATL 中国電気自動車事業担当 CTO、Gao Huan 氏
業界初の一体型ケースは内部スペースの利用を最適化し、Shenxing PLUSセルが前例のないエネルギー密度レベルに達することを可能にしたという。結果、システムレベルでShenxing PLUSバッテリーパックは、モジュール不要のCTP 3.0技術に基づいて最適化されたトポロジー構造を備え、パッキング効率が7%向上した。
こうした材料と構造の進歩により、Shenxingバッテリーシステムのエネルギー密度は初めて200Wh/kgのしきい値を超え、205Wh/kgに達し、1000kmを超える航続距離を実現したとしている。
高速充電により10分間の充電で600kmの走行を実現
またShenxing PLUSは長い航続距離を提供するだけでなく、充電も高速化されたという。10分の充電で600kmの航続距離を実現でき、市販されている通常のバッテリーを大きく上回り、毎秒1kmという超高速充電速度を実現した。
これだけの充電速度の向上を実現させるためShenxing PLUSは、高速リチウムイオン伝導性コーティング、遷移金属元素の添加、新しいナノメートルカプセル化などの技術を採用。カソードおよびアノード材料間のエネルギー伝達をよりスムーズかつ効率的させている。
また大電流充電中に熱を急速に放散させるために、バッテリーシステムの端子の過電流領域と容量も拡大させた。BMSコアアルゴリズムに関しては、CATLが新たに開発したAI分極モデルによって、充電電流をリアルタイムで予測および制御できるため、より迅速かつスマートなエネルギー補充が可能になる。
これに加えて、中国国内での超高速充電サービスプラットフォームを構築するべく、Shenxing Superfast Charging Networkの構築にも着手。CATLは、Star Charge、YKC、Shudao New Energyなどの業界をリードするパートナーと協力して、Shenxing超高速充電バッテリーを搭載した自動車に対して、コスト効率性の高いモビリティー体験を提供すると結んでいる。