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2024年4月26日【IoT】

CATL、航続距離1000KmのLFP蓄電池を発表

坂上 賢治

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ウー・カイ博士、CATL 首席研究員

 

1000kmの航続距離と4C超高速充電を可能にするShenxing PLUSを発表

 

CATLは4月26日、4C超高速充電で1000kmを超える航続距離を実現する世界初のLFPバッテリー(リン酸鉄リチウムイオン電池)、Shenxing PLUSを発表。同社では2023年8月にShenxing超高速充電バッテリーを発売してから8カ月で、CATLは再びLFPバッテリー技術の限界を押し広げたと謳っている。

 

CATLによると、Shenxing PLUSバッテリーは1000kmを超える超長距離走行体験をユーザーに提供する。これは途中で充電せずに北京から南京まで移動できることを意味する。これにより、新エネルギー車は都市部での通勤ニーズに応えるだけでなく、省間の長距離移動にも対応できるようになった。

 

その性能の背景は、Shenxing PLUSのカソード(陰極)をナノメートル単位の粒子を最適な位置に配置する粒状グラデーション技術で実現させたもの。独自の3Dハニカム形状の材料がアノード(陽極)に添加され、充放電サイクル中の体積膨張を効果的に制御しながらエネルギー密度を向上させる。

 

CATL 中国電気自動車事業担当 CTO、Gao Huan 氏

 

業界初の一体型ケースは内部スペースの利用を最適化し、Shenxing PLUSセルが前例のないエネルギー密度レベルに達することを可能にしたという。結果、システムレベルでShenxing PLUSバッテリーパックは、モジュール不要のCTP 3.0技術に基づいて最適化されたトポロジー構造を備え、パッキング効率が7%向上した。

 

こうした材料と構造の進歩により、Shenxingバッテリーシステムのエネルギー密度は初めて200Wh/kgのしきい値を超え、205Wh/kgに達し、1000kmを超える航続距離を実現したとしている。

 

高速充電により10分間の充電で600kmの走行を実現

 

またShenxing PLUSは長い航続距離を提供するだけでなく、充電も高速化されたという。10分の充電で600kmの航続距離を実現でき、市販されている通常のバッテリーを大きく上回り、毎秒1kmという超高速充電速度を実現した。

 

 

これだけの充電速度の向上を実現させるためShenxing PLUSは、高速リチウムイオン伝導性コーティング、遷移金属元素の添加、新しいナノメートルカプセル化などの技術を採用。カソードおよびアノード材料間のエネルギー伝達をよりスムーズかつ効率的させている。

 

また大電流充電中に熱を急速に放散させるために、バッテリーシステムの端子の過電流領域と容量も拡大させた。BMSコアアルゴリズムに関しては、CATLが新たに開発したAI分極モデルによって、充電電流をリアルタイムで予測および制御できるため、より迅速かつスマートなエネルギー補充が可能になる。

 

これに加えて、中国国内での超高速充電サービスプラットフォームを構築するべく、Shenxing Superfast Charging Networkの構築にも着手。CATLは、Star Charge、YKC、Shudao New Energyなどの業界をリードするパートナーと協力して、Shenxing超高速充電バッテリーを搭載した自動車に対して、コスト効率性の高いモビリティー体験を提供すると結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。