社会連携講座で扱うシステム例
東京大学大学院新領域創成科学研究科、デンソー、日本精工、ブリヂストン、ロームは12月1日、共同で「SDGsを実現するモビリティ技術のオープンイノベーション」社会連携講座※1を設置したことを発表した(図1)。
設置期間は2020年12月1日~2024年3月31日の3年4か月。講座は東京大学大学院新領域創成科学研究科に設置され、藤本博志准教授を含む2名体制で実施される。モビリティの電動化を支える技術の研究開発や電動モビリティを省資源でより持続可能にする技術の研究開発、またオープンイノベーションとして成果の一部を開放する仕組みの試行を実施する。
図1 本講座で目指すSDGs
※1「社会連携講座」とは、公共性の高い共通の課題について、共同して研究を実施しようとする民間等外部の機関(国立研究開発法人を除く)から受け入れる経費等を活用して、学部や研究科などの教育研究を行う機関に設置される講座をいう。
本講座の研究内容
■研究テーマ
モビリティは電気工学、電子工学、機械工学、材料工学等様々な分野の知識を駆使して開発されている。講座でも従来の単一の学術領域での問題解決にとらわれず、複数の学術領域にわたるモビリティ研究を共同で進めていく。具体的にはJST未来社会創造事業の研究を発展させた走行中給電システムや車両運動制御、またそれらを組み合わせたシステムの研究を第一の研究テーマとする。
■オープンイノベーション
走行中給電の研究を社会実装するためには車両に搭載する部品の開発のみならず、給電設備や制御システムなど広範にわたる研究が必要だ。講座で扱う研究に関わらず研究開発への参加者を積極的に迎え、技術革新の基盤を築くことを目指し、オープンイノベーションによる研究を推進。オープンイノベーションの枠組みや規約を作ることが試行的な要素を含むため、成功するオープンイノベーションの仕組みを構築する(図2)。
図2 オープンイノベーションと従来の研究開発
今後の展望
講座では第3世代走行中ワイヤレス給電インホイールモータを発展させた新たな走行中給電システムの開発※2をはじめとする、新しいモビリティ技術開発を意欲的に進めてゆくという。講座が提案するシステムや制御技術の実用化に向けて、2025年以降の実証実験フェーズへの移行を目指す。
※2世界初、電気自動車に必要な受電から駆動までのすべてをタイヤに内蔵
「第3世代走行中ワイヤレス給電インホイールモータ」を開発
https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2019101002.html