ブリヂストンは12月8日、自社グループ内に於いて「第13回ブリヂストン グループ・グローバルTQM(Total Quality Managementの略/総合品質管理)大会」を開催。今回は、世界規模で航空機の離着陸を支えているブリヂストン製・航空機用タイヤが表彰の対象となった。
ちなみに一般的に航空機タイヤは、個々1本当たりで30tにも上る重量を支えながら、約350Km/hの速度で離着陸を繰り返すため、着陸時のタイヤ表面温度は250℃以上、フライト時は高度10,000mで気温マイナス45℃の環境に対応するなど過酷な条件下でも安心安全を守り切ることを求められる。
また過去に於いて航空機用タイヤは、航空機の離着陸数百回毎に交換されてきたのだが、今日の新品タイヤは複数回のリトレッド(トレッド面のみの張り替え)も可能だ。リトレッドは、高耐久を保つタイヤ骨格を再利用し、摩耗したトレッド部のみを更新することで、高い資源生産性と環境負荷低減により、サステナビリティ性の向上に貢献する取り組みだ。
しかも航空機用タイヤは、様々なエアラインや空港で使われることになるため、北半球・南半球のみならず、極寒や灼熱の滑走路など、タイヤ使用環境が多様に亘る。
従ってリドレッド可能な新品タイヤの製造過程では、無限とも言える素材・部材の組み合わせを介した製品検証が前提となる。しかしそれは難解を極める領域だ。つまりリトレッド回数の更なるアップについては難しい状況にあったのだ。
そこで今回、同社の技術チームはデジタルデータを活用。まずは新品タイヤ1本あたりの製造過程下で7,000超のデータを収集。これをベースにこれまでは暗黙知となっていた熟練作業員の手作業による製造過程を可視化し標準化する取り組みに挑戦した。
当該データと、航空機に装着・使用された後のタイヤの状況を示すデータと、タイヤ構造や素材のビッグデータ解析を経て、タイヤ1本毎の部材・素材・構造の配置精度と、世界の空港での使用環境との関係性を洗い出し、遂に適した対策を施すことに成功した。
その結果、これまでは暗黙知であった匠の技をデータ分析を介して再現できた上に製造方法の新たな標準化も確立。リトレッド回数を上げるための精度向上に漕ぎ着けた。
大会では、最終選考としてこうした事例を含む16件の発案が発表されて、スペイン、アメリカ、ベトナム、日本などの計9つの事業拠点が表彰されるに至っている。
なかでも先の通りで、東京都小平市の日本の技術センターが「データ活用による航空機用タイヤのリトレッド可能回数の向上」を提案し、これがグランプリを獲得した。
同社では大会の開催について、「常に〝最高の品質で社会に貢献〟することを使命に掲げる当社にとって本大会は、改善事例をグローバルで共有し相互研鑽することを目的としています。
ブリヂストンの企業活動の基盤である〝品質へのこだわり〟は、当社のDNAであり、創立92年歴史の中で培ってきたグローバル規模の事業上の財産です。こうしたイノベーションの共有と継続的改善を繰り返し、地道に現場で業務品質の向上に取り組むことは今後、我々の成長へ向けて全てのベースとなるものです。
本大会を等してブリヂストングループは、業務品質向上の浸透を継続的に推進し、オペレーショナルエクセレンスの追求を徹底してまいります」と話している。