高性能ブレーキシステム開発・製造のブレンボは12月11日、高性能タイヤの開発・製造を担うミシュランタイヤとインテリジェントソリューションの開発を視野にグローバル契約を締結した。両社は今後、同パートナーシップを通じたブレーキ+タイヤの革新性を追い求め、ドライバーに対して、より高レベルな安全性&快適性の提供を目指すという。
より具体的には、ブレンボが持つブレーキシステム、車両モデリング、人工知能技術と、ミシュランのタイヤモデリング技術、アルゴリズム開発に係るノウハウなどを融合。
例えば、ブレンボの革新的なブレーキシステム「SENSIFY®」から抽出されるリアルタイムデータに、ミシュランが持つタイヤ接続型ソリューションソフトウェアとグリップ状態を示す過度特性データを組み合わせることにより、ブレーキシステム自体の潜在能力を大きく高め、SENSIFY®そのものの絶対性能の更なる高度化の実現へと繋げていく構えだ。
ちなみに上記のミシュランが保有するタイヤ接続型ソリューションは、タイヤ開発の中で培われた高度なモデリング技術とシミュレーションに関わる専門知識が活かされたもの。ミシュラン独自の車両データの分析ノウハウにより、ミシュランはリアルタイムで車両にタイヤ情報を提供できる先進的なソフトウェアポートフォリオを開発した。
その情報には、摩耗状況(Michelin SmartWear)、荷重(Michelin SmartLoad)、グリップ(Michelin SmartGrip)などが含まれるだけでなく、ミシュランが開発したソフトウェアは、全てのタイヤブランドにも適応できる互換性・拡張性を持っているのが強みだ。
対してブレンボのSENSIFY®は、世界的に評価されているブレーキコンポーネントをベースに、AI、アルゴリズム、センサーを活用して各ホイールを独立制御するデジタル・ブレイン構成とを融合。その結果、卓越した運転体験と安全性を提供できるようにする次世代のブレーキシステムとして開発された。
そんな両社は、先の2024年9月30日から10月29日までの17日間、フランス・ラドゥにあるミシュラン研究開発センターのテストトラックで、双方の保有技術を持ち寄ったブレーキシステムの評価テストを実施した。
その概要は、標準テストプロトコルに基づき複数回に亘って精緻な走行実証を行ったもの。より具体的には、ドライおよびウェットトラック上(ウェットの水深は0.8mmに設定)で、新品タイヤと摩耗タイヤ(残溝2.0mmに設定)を使用して異なる進入速度(50km/h、90km/h、110km/h、130km/h)でブレーキテストを繰り返して実施。
その結果、様々な条件下でABS作動中に最大4メートル(13フィート)の制動距離短縮が確認されただけでなく、ブレーキシステムの反応時間の短縮、トラクションロスの最小化、横方向の安定性向上、ホイールロックの回避などの良好な数値を示すことができたという。
この成果についてミシュラン オートモティブでOE事業部 総責任者を務めるセルジュ・ラフォン氏は、「ブレンボのような業界のリーダーブランドと力を合わせることができ、大変嬉しく思います。両社の情熱がユーザーの安全性向上に向けた新たな一歩を踏み出す原動力となります。また、お客様にタイヤをできるだけ長く、安心して使い続けて頂くことは、ミシュランにとっても重要な目標であり、この結果は、お客様からの評価と共に環境保護にも繫がります。
もとよりミシュランは〝データドリブン企業〟として、シミュレーションとソフトウェア開発がタイヤのリアルタイムモニタリングに欠かせないツールであると考えています。そうした意味でミシュランとブレンボは共に、未来の車両向けのユニークなソリューションを今後も築いていけるでしょう」と述べた。
一方でブレンボのダニエレ・スキラッチCEOは、「ブレンボでは、テクノロジーと人工知能の力を信じています。実際、私たちはキャリパー、ディスク、摩擦材に関する独自のノウハウや専門知識と、ソフトウェアの力を融合させた企業へと進化しています。
SENSIFY®は、事故のない世界というビジョンを実現するための次世代のブレーキシステムです。ミシュランとのパートナーシップは、自動車業界に於ける革新と協力の重要性を物語っています」と今テストから得られた成果を誇らしく語った。