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2020年6月3日【テクノロジー】

ボッシュ、二輪向け自動緊急通報システムを開発

NEXT MOBILITY編集部

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ドイツのロバート・ボッシュ(Robert Bosch)は、二輪車向けの自動緊急通報システム「ヘルプコネクト」を開発した。

 

システムは、車両搭載の慣性計測センサーユニットに組み込まれた衝突検出アルゴリズムで事故を検知し、スマートフォンアプリを介して事故現場とライダーに関する情報を、ボッシュカーサービスステーション経由で救急サービスに送信する。

ボッシュ・ロゴ
日本において、二輪車ライダーが事故により死亡もしくは重傷となるリスクは、自動車ドライバーの約10倍(*1)と、今なお高い状況にあるといわれている。

 

事故に遭遇した際に救助を早く受けられるほど救命の可能性が高まることから、ボッシュは、二輪車向けの自動緊急通報システム「ヘルプコネクト」を開発した。このシステムにより、救急隊員が事故現場に到着するまでの時間は、最大で半分にまで短縮できる(*2)と云う。

 

ボッシュ取締役会メンバーのハラルド=クローガー氏は、「ヘルプコネクトによって、ボッシュの二輪車向けセーフティシステムの幅広い製品ポートフォリオに、デジタル版の守護神が加わります」と、述べている。

 

 

 

 

緊急時、アプリが事故現場とライダーに関するデータを送信

 

ヘルプコネクトは、ボッシュのモーターサイクル用スタビリティ コントロール(MSC)の主要構成コンポーネントである慣性計測センサーユニットからの情報を活用した。

 

加速度と角速度を毎秒100回測定するこのセンサーは、車体角度や車体方向が変化する速度を把握し、二輪車の車体の向きとリーン角を正確に計算。センサーに組み込まれたアルゴリズムにより、二輪車が事故に巻き込まれたのか、または駐車中に車両が転倒しただけなのかを自動的に検出。Bluetooth経由で、身に付けていることが多いスマートフォンの緊急通報用アプリ「Vivatar」に接続し、位置情報やライダーから提供された、救命活動に重要な可能性のある医療関連データを送信する。また要望に応じて、第三者への自動通知もできる。

 

なお、事故が深刻でライダーからの応答がない場合には、救急隊が直ちに現場に向かうと云う。

 

またヘルプコネクトは、追加のコントロールユニットが不要なため、搭載が容易なことに加え、二輪車メーカーが提供する専用アプリなど、Vivatar以外のスマホアプリとの連携も可能。サービスはまず、ドイツで提供される予定だ。

 

事故調査で世界の衝突事故を分析

 

ヘルプコネクトは、他のアシスタンス システム同様、エンジニアと社内の事故調査部門による協働により誕生。

 

事故の研究者は、安全性を向上させる技術革新のきっかけをつかむため、実際に発生した二輪車事故の過去データを把握し、特定の事故シナリオを分析。ボッシュは、ヘルプコネクトの機能性を実証するためだけに、18回の衝突試験を実施したと云う。

 

これについて、前述のクローガー氏は、「ライダーの安全性を向上する製品開発以前に、ライダーが直面する危機的状況を理解する必要があります」と、述べている。

 

 

 

 

二輪車安全性向上のための革新的技術の開発

 

ボッシュでは、ライダーの安全性の向上のため、25年前にモーターサイクル用ABSを、そして2013年にMSCを開発し、二輪車の安全性を大幅に向上。

 

その後も、アダプティブ クルーズ コントロール(ACC)、衝突予知警報、死角検知を含む、レーダーベースのアシスタンスシステムのアドバンスト ライダー アシスタンス システム(ARAS)を開発し、セーフティシステムの製品ポートフォリオのさらなる充実化を図ってきた。

 

 

*1:2017年の二輪車(排気量125 cc以上)のデータから推計([出典] 2018年2月15日付・警察庁交通局「平成29年中の交通事故の発生状況」<https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/H29zennjiko.pdf>、自動車検査登録情報協会「自動車保有台数の推移」<https://www.airia.or.jp/publish/file/r5c6pv000000g7vb-att/r5c6pv000000g7vq.pdf>)
*2:[出典] EUプロジェクト「Harmonised eCall European Deployment(I_HeERO)」

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。