ドイツのボッシュとダイムラーは7月23日、シュトゥットガルトにあるメルセデス・ベンツ博物館の駐車場に設置した自動バレーパーキングにおける、世界初となるSAEレベル4(※1)のドライバーレス完全自動駐車機能の日常利用が、バーデン・ヴュルテンベルク州の関係当局から正式承認されたと、発表した。
この自動バレーパーキングサービスは、スマートフォン・アプリからアクセスするだけで利用可能、また安全を監視するためのドライバーも不要だと云う。
承認に際して、ボッシュ取締役会メンバーのマルクス・ハイン氏は、以下のように話している。
「関係当局のこの決定により、自動バレーパーキングのような革新技術をドイツで初めて利用できるようになりました。ドライバーレスの運転と駐車は、未来のモビリティの重要な構成要素です。自動バレーパーキングは、私たちがこの開発路線に沿ってどれだけ歩みを進めたかを如実に示したものだと言えます」。
また、ダイムラーで運転テクノロジーと自動運転の責任者を務めるMichael Hafner氏は、以下のように話している。
「バーデン・ヴュルテンベルク州の関係当局からこの承認を受けたことで、世界中の駐車場の駐車サービスについて今後承認を受けるための重要な前例となるでしょう。自動運転のパイオニアである私たちのプロジェクトは、自動バレーパーキングが今後量産体制に移行する道筋をつけることになりました」。
■動作の安全性を最重要視
ボッシュとダイムラーは、このプロジェクトの開始当初から安全性を最重視してきたと云う。
プロジェクトでは、ドライバーレス自動運転機能の正式な承認手続きに入る前から、シュトゥットガルトの行政当局とバーデン・ヴュルテンベルク州交通省が、ドイツの技術検査協会であるラインラントTÜVのスペシャリストたちとともに、自動バレーパーキングの動作安全性を評価するため、監督。
その結果、このプロジェクト以外にも適用できる適切な試験と、承認基準を含めた包括的な安全性コンセプトが誕生。同コンセプトにおいて、開発者は、無人運転車両が歩行者や他の車両をどのように検出し、障害物に遭遇した時に確実に停止するのかを定義。また、すべてのシステムコンポーネント間の安全な通信を確立し、駐車動作が確実に行われるための措置を講じている。
■ドライバーレスパーキングの仕組み
自動バレーパーキングでは、ドライバーが駐車場の所定の位置まで乗り入れ降車。スマートフォンの画面をタップすると、車両は自ら、駐車スペースに入っていく。そしてドライバーが駐車場を出ると、車両は割り当てられたスペースに移動して駐車。帰る時も、所定の位置にドライバーが来ると、車両はその位置まで自動的に戻ってくる。
このプロセスは、ボッシュ提供のインテリジェントな駐車場インフラと、 メルセデス・ベンツ提供の車両技術の相互作用によって実現。駐車場内に設置されたセンサーが、駐車スペースまでの経路や周囲の状況を監視し、車両の誘導に必要な情報を提供し、車両に組み込まれたテクノロジーが、インフラからの指示を元に運転操作を行う。
このようにして、車両はスロープを上ったり下ったりしながら駐車場の中を行き来し、インフラのセンサーが障害物を検知した場合には、車両はただちに停止する。
■自動バレーパーキングパイロットの次なる目標
ボッシュとダイムラーは、2015年に全自動ドライバーレスパーキングの開発を開始し、2017年夏には、シュトゥットガルトにあるメルセデス・ベンツ博物館の駐車場で、実際の条件下でドライバー付き、ドライバーレスどちらにも対応した自動バレーパーキングパイロットソリューションを設置し、一般公開した。
両社はこの初公開を経て、集中的なテストおよびスタートアップ段階に進み、2018年初めから安全スタッフのサポートを条件とする、来館者による自動駐車サービスを開始した。
また、このパイロットプロジェクトには、ターコイズ(青緑)のライトが、車両の自動運転モードで動作中であることを歩行者や他の道路利用者に伝えるライティングコンセプトのテストも含まれており、これらテストで得られた知見は、SAE規格3134に反映されている。
ボッシュとダイムラーは、このバレーパーキングサービスが、セーフティドライバーのサポートを受けることなく体験できるよう、関係当局からの最終承認を次の重要なマイルストーンの1つとして掲げている。
※1:SAEレベル4:地理的に限られたエリアでのドライバーレス運転、SAE(Society of Automotive Engineers)がJ3016で発表した定義による。