BOLDLYは4月27日、BOLDLYが運行業務を担う茨城県の境町での自動運転バスにおいて、運転手を補助する保安要員を2021年4月から撤廃したことを発表した。
境町の自動運転バスに使用している車両「NAVYA ARMA(ナビヤアルマ)」(仏Navya社製)は、国土交通省から道路運送車両の保安基準第55条による基準緩和認定を受けて、公道での走行が許可されている。
これまで「NAVYA ARMA」が公道で走行するための条件として、運転手1名に加え、保安要員1名の配置が求められていたが、境町での運行実績などから保安要員がいなくても安全な運行が可能であることを確認できたため、保安要員の同乗を不要とするための条件が規制改革により明確化されたことを踏まえて、今回、関係省庁などと保安要員の撤廃について合意した。
なお、BOLDLYはこの他にも、自動運転車両を活用した取り組みを国内で加速させることを目的に、全国各地での自動運転バスの運行経験を踏まえて、関連する法令や規制の在り方について関係省庁などと意見交換を実施してきた。
内閣府が2020年12月15日に開催した「規制改革推進会議第6回投資等ワーキング・グループ」に参加して四つの要望を示し、内閣府規制改革・行政改革担当大臣直轄チームの調整により、下記の三つの規制緩和が実現している。
■規制改革の内容とそれに伴うBOLDLYの取り組み
– 歩行者用道路での走行(規制の緩和日:2021年1月7日)
歩行者に十分な周知が行われていることなどを前提に、道路使用許可を取得することで、歩行者用道路で低速の自動運転車両を走行させることが可能になった。歩行者を検知すると直ちに停止する低速の自動運転車両は、歩行者と共存する新たな交通手段としての活用が期待できる。
この規制改革を受けて、BOLDLYは⼀般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会と共同で、丸の内仲通り(東京都千代田区)において、歩⾏者専⽤通⾏時間帯となる「丸の内仲通りアーバンテラス」の実施時間中に、自動運転バスの実証実験を実施した(2021年3月)。
– 既存のバス停の活用(規制の緩和日:2021年1月7日)
道路交通法第44条第1項の規定により、路線バスなどの車両以外が既存のバス停に駐停車することは原則禁止されているが、自動運転バスの運行主体と路線バス事業者間の合意により、路線バスなどの利用者の安定的な輸送の確保に資すると認められる場合には、自動運転バスが既存のバス停を活用できるようになった。
この規制改革を受けて、境町の自動運転バスの運行には、路線バス事業者が設置する既存のバス停を一つ利用している。
– 道路使用許可の取得プロセスの合理化
(規制緩和日:施設内審査 2020年12月17日、路上審査・公道審査 2021年4月16日)
⼿動による運転時に通常のハンドル・ブレーキと異なる特別な装置で操作する「NAVYA ARMA」などの特別装置自動車が、公道で自律走行するために必要な道路使用許可を取得するプロセスが下記の通り合理化された。
・「施設内審査」
実験施設などにおいて、法令に則って当該車両を手動で走行させることができるかを確認する「施設内審査」について、すでに他の都道府県で合格している運転手は、別の都道府県での運行にあたり再度の審査を省略することが可能になった。BOLDLYが各地で実施する実証実験では、この規制緩和がすでに適用されている。
・「路上審査」
実際の走行ルートにおいて、法令に則って当該車両を手動で走行させることができるかを確認する「路上審査」について、運転手の過去の経験や運行場所の交通環境などから、警察署長が省略しても良いと認めた場合は不要になった。
・「公道審査」
実際の走行ルートにおいて、当該車両が安全に自律走行することができるかを確認する「公道審査」について、すでに審査に合格している同型車両と同一の設定が適切に行われていることなどから警察署長が省略しても良いと認めた場合は、他の同型車両の審査が不要になった。