GLASSツールが製品カーボンフットプリントと塗装工場の透明性を実現
BASFのコーティングス事業本部は2月6日(独・ルートヴィッヒスハーフェン発)、GLASSツールを通じた透明性を実現化する分析アプローチを提供する。
GLASS( Global Life Cycle Assessment of Automotive Surface Solutions )ツールとは、CO2排出量や関連コストなど、環境への影響を分析・特定するための手段を指すもの。
このツールによる分析では、ゆりかごから墓場までのアプローチに従い、原材料採取や塗装前処理工程。更には自動車塗装の最終段階であるクリヤーコート塗装工程に至るまでのバリューチェーン全体が透明化できるようになる。
結果、BASF製品を使用する顧客はコスト、パフォーマンス、エコロジカルフットプリントの全域でCO2排出量に係る最適化を導き出すことが可能となる。なお、このBASFのGLASSツールは、独立した第三者機関によってテストされ、DIN EN ISO 14040および14044に準拠した関連要素を満たしている。
重要なのは、塗装工程全域のフットプリントやエネルギー負荷を透明化すること
このツールについて、BASF自動車部門でEMコーティングスのグローバル・マーケティング担当バイスプレジデントを務めるサブリナ・プラゼック氏は、「一般的に製造車両1台あたり約30kgのCO2が塗膜から排出されています。
しかし、実塗装工程の全域から捉えると車両1台あたり、少なくとも車両製造工程の約3分の1に相当する150kgのCO2が排出されており、はるかに大きな影響を与えています。
そのため塗装工場に於ける塗装工程のフットプリント、更にはエネルギー消費量と関連コストを透明化することが重要です。
そのためには包括的なデータとシミュレーションがあってことで、その結果、初めて、効果的な対策を導き出すことができるようになります。GLASSツールは、それを実現するものであり、業界にとって非常に有益な知見をもたらします」と説明した。
塗装工程全体の一貫した要素・環境への影響を分析することが可能に
そんなGLASSツールは、適合したライフサイクル分析モデルに基づいている。これは、特定のオーブンや塗装システムといった塗装工程の個々の側面を考慮するだけではなく、BASFの製品を利用する顧客とBASFコーティングス事業部が塗装工程全体を通して環境への影響を分析することを可能にするという。
それは地域の気候条件、エネルギー使用、顧客環境下での固有の塗装プロセスや生産構造など、地域や土地固有の要因も考慮され、その結果、初めて塗装ライン全体のCO2排出量の削減効果に係る検討と分析を可能にする。
そうした背景と効果の算出手段についてBASFコーティングス事業部のライフサイクル・アセスメント・エキスパート兼GLASSツールの開発者のティム・バニック氏は、「全行程を透明性していくことで私たちは、お客様に的を絞ったアドバイスを提供でき、バリューチェーンの初期段階に於けるCO2削減技術がどのようなものであるか。また、お客様の環境に適したCO2削減効果の高いソリューションを提案、並びにその効果を語り合うことができるようになります」と述べている。
また、BASFコーティングス事業部のサステナビリティ担当ディレクターであるDr.マーカス・ピーペンブリンク氏は、「私たちは業界のサステナビリティをリードすることを目指しています。そのゆえサステナビリティは私たちのすべての行動の中心にあります。
我々が市場から頂戴している数々の好意的なフィードバックは、我々の目指すツールやソリューションづくりが正しい道であることを証明しており、長期的には、そんなGLASSツールに関しては自動車OEMコーティング業界だけでなく他分野にも提供していきたいと考えています」と結んでいる。