2026年には触媒を生産する世界初の工業規模プラントが稼働へ
独の総合化学企業BASF(ビーエーエスエフ)は11月22日(独ラインラント=プファルツ州ルートヴィッヒスハーフェン発)は、3Dプリンティングに基づく触媒の新しい積層造形技術のX3D®テクノロジーによる生産能力拡大するべく、生産設備に対して追加投資を行う。この投資はライン川西岸に位置するルートヴィッヒスハーフェンに於いて工業規模で触媒を生産するもので、2026年には稼働が開始される予定という。
このX3D®テクノロジーとは、触媒の設計と製造のふたつの領域に於いて革新的な飛躍を示すものだとした。同技術を用いて製造された触媒は、構造的に堅牢であるだけでなく、特徴的なオープン構造を持ち、それによって表面積を大幅に拡大させただけでなくリアクター内の圧力損失も大幅に低減できる。
こうした触媒製造技術の進歩は製品としての性能の向上に繋がり、顧客の事業効率向上に貢献する。それはリアクターの出力向上、製品品質の向上、エネルギー消費量の低減など、複数要素のメリットをもたらし、其れ其れの事業に於いてグリーントランスフォーメーションの目標達成に寄与するとしている。
そんなX3D®テクノロジーの主な利点のひとつは、その汎用性にある。より具体的には、貴金属触媒、非貴金属触媒、担体など、様々な触媒材料に適用・使用することが可能な点が大きな特徴と言えるだろう。
これらの柔軟性により、BASFはインフィルパターン、繊維径、方向などのパラメーターを微調整し、個々の顧客其れ其れの要件に応じて触媒をカスタマイズすることもできる。
このような成果を持つ製品開発に成功した理由についてBASFでプロセス触媒部門のシニアバイスプレジデントを務めるデトレフ・ラフ氏は、「BASFは、引き続き化学触媒業界のイノベーションをリードすることに尽力していきます。X3D®は、触媒製造技術を大きく前進させるものです。生産性能を向上させると同時に、カーボンフットプリントを削減する新たな機会をお客様に提供できることを誇りに思います」と説明した。
更にBASFのカスタム触媒およびイノベーション部門でバイスプレジデントを務めるイェンス・ペレーガード氏は、「BASF は、X3D®触媒を使用した商業プラントの運転を数年にわたり成功させ、目覚ましい成果を上げてきました。このテクノロジーは、比類のない効率と市場投入速度の向上により、グリーンなバリューチェーンと従来のバリューチェーンの両方の未来を形作るものとなるでしょう」と述べている。