LSI(システムオンチップ)の設計開発や機械学習などの手掛けるアクセルは3月23日、完全⾃動運転に特化したLSIの試作品が完成したと発表した。
これは、NEDO( 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 )の公募事業である「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」の中での取り組みが実を結んだもの。
より具体的には、自動運転車用オープンソースOS「Autoware」の開発元のティアフォー、東京⼤学 加藤研究室、埼⽟⼤学 安積研究室と連携。完全⾃動運転に特化したLSIとソフトウェアプラットフォームの研究開発に取り組んだ。
この結果、自動運転時の様々な処理に最適化したハードウェアアクセラレータとリアルタイム処理を実現するメニーコアを搭載。走行中の限られた計算資源のもとで高速かつ省電力なデータ処理、リアルタイム性の実現が可能になったとしている。
チップ外観・フロアプラン
その取り組みは本来、同試作品の完成を当初2022年秋頃の完成として来たのだが、ここ数年の世界的な半導体サプライチェーンの混乱により、LSIの製造に予想以上の時間を要した。
今後はシステム全体の評価を行うため、ティアフォー等と連携しつつ、更なる実証実験を踏まえた検証を重ねて行く予定。なお実証実験の結果は、今年夏頃を目処に成果として公表する予定。
アクセルでは、「この度の完全⾃動運転に特化したLSIとソフトウェアプラットフォームの研究開発で得た自動運転システムへの知見。
更に当社が今まで培ってきた高度なLSI設計力やAI・機械学習に関するコア技術を融合する事で、完全自動運転向けLSIのアクセラレータIP、自動車向けのAI IP( ailia SDK )などを提供出来る環境が整います。
今後は、これらの技術をベースに研究開発成果の商品化・事業化を目指し、来たる次世代スマートモビリティの社会実装に貢献していきたいと考えています」と話している。
実証実験の内容は以下の通り
・タクシー車両の自動運転機能の一部を本LSIへオフロードして実行
・テストコースにおいて「走る・曲がる・止まる」を含めた、自動運転の基本動作を実証
・既存の消費電力が大きいGPUを使用したシステムと比較して、電力性能向上を確認
・既存のシステムと比較し、自動運転での応答性向上を確認
実証実験の開始時期と目的
・2023年3月末頃
・LSIを搭載した自動運転車両での自律走行の実証
・LSIの評価(性能、消費電力、リアルタイム性など)
・自動運転プラットフォームとして今後のビジネス展開推進
アクセルについて
アクセルは、高度なアルゴリズム開発から製品化を担うソフトウェア・ハードウェア開発まで一貫した開発体制を保有する企業。大規模なLSIの設計開発に加え、機械学習/AIや暗号・ブロックチェーン技術等の先端技術を社会実装する事で、デジタル技術によるビジネス改革に貢献していく事を社是としている。
TIER IVについて
社名:株式会社ティアフォー
所在地:愛知県名古屋市
設立年月:2015年12月
主な事業内容:
・自動運転プラットフォーム/ウェブサービス開発事業
・自動運転システム開発キット販売事業
・自動運転技術の教育事業
・サブスクリプションモデルによる自動運転EV提供事業
・自動運転EVを用いた無人物流・旅客サービス事業