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2024年6月17日【CASE】

アウディ、SDV担当取締役にジェフリー ブーコ氏

坂上 賢治

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アウディAG( 独インゴルシュタット発 )は6月3日、車両の開発ペースを一層加速させることを明らかにした。ちなみにこの現時点でアウディは、Audi Agenda( アウディ・アジェンダ )に沿ってアウディAGのゲルノート・デルナーCEO( Gernot Döllner )のリーダーシップの下、注力する分野を再定義している最中にある。

 

ちなみにこのアウディ・アジェンダとは、適切な課題に取り組み、アウディの生産車を、より迅速に市場投入するためのロードマップだ。そんなアウディ・アジェンダの核心は、顧客にとって重要なもの、つまり製品、テクノロジー、ブランド( 品質と革新性 )に焦点を当てている。

 

このテーマは、全世界各国で展開する全てのアウディブランドに当てはまる。しかしヨーロッパ、中国、北米毎に事業戦略の優先順位が異なるのが普通だ。そこで、これらの事業領域毎に具体的な作業パッケージと責任の所在が定義されており、今回、同ステップがいよいよ第2段階次へと向かうことなった。

 

 

より具体的には同社の監査役会は、取締役会の組織上に於いて「イノベーション分野+SDV(ソフトウェア デファインド ビークル)」を担当する専任職域を設けることを決めた。これに沿って、今後もクルマ造りに於いてソフトウェア開発が引き続き重要な役割を担うことを明示させた。

アウディAGの監査役会会長マンフレート・デス氏( Manfred Döss )は、「取締役に新しい役職を設ける同決定により、アウディは長期的なテクノロジー及びイノベーション戦略を強化して、SDVの開発に一層注力していきます。私たちは、ブーコ( ジェフリー・ブーコ氏 / Jeffrey Buco )が取締役会のメンバー全員と共に、アウディ・アジェンダを成功に導くための大きな推進力となってくれると確信しています」と述べた。

 

またアウディAGの監査役会副会長 兼 労使協議会議長を務めるヨルク・シュラグバウアー氏( Jörg Schlagbauer )は、「SDV及び革新技術の開発を重視するブーコがアウディ取締役に任命されたことは、Vorsprung durch Technik(技術による先進)に対する従業員の真摯な取り組みを強調するものでもあります。私たちは、組織に新しい風を吹き込み、アウディの明るい未来を構築するために、共に協力して取り組んでいくことを楽しみにしています」と語った。

 

今後、次世代を目指すアウディ・アジェンダが未来を築く土台となり、イノベーション&SDV担当取締役となったブーコ氏が、アウディAGそのものをソフトウェア中心の組織へと変革させていく役割を担う。

 

 

同社を率いるゲルノート・デルナーCEOは、「Vorsprung durch Technik( 技術による先進 )は、アウディにとっても我々が目指すべき未来を指し示す指針である一方で、アウディが歩むべき明日を探し求めていくためのキーワードであるとも言えるでしょう。今後も一層車両開発のペースを速めつつ、並行してクルマ造りの中核技術をソフトウェアへ重きを置き続けていくためには、過去の旧態依然とした自動車メーカーから離脱するための努力が欠かせません。

 

そのために我々は、今回ブーコを任命しました。この決定により我々は、まだ見致せずに居る次なる目標に向けて突き進むことができるのです。

 

そもそもブーコは、大規模なソフトウエア開発チームを率いて企業を変革させていくことに関して実に豊かな知見を持っています。彼のイノベーションに係る深い専門知識と力強いリーダーシップは、アウディの発展に大きく貢献してくれると確信しています」と畳み掛けた。

 

これを受けてブーコ氏は、「私にとってアウディという企業は、未来のモビリティ像を体現するべきブランドであり、エンジニアリングとデジタル化を融合させた明日のクルマを象徴するものです。そんな組織で新たな役職を得て働けることに心躍る気持ちです。私は、アウディと共に自らに課せられた役割を果たしていきたいと考えています」と話している。

 

 

そんなブーコ氏の直近の役職は、ヴァレオ( Valeo )グループに於ける最高技術責任者( CTO )兼 戦略担当シニアバイスプレジデントであり、彼は同職域で、企業戦略、研究開発、広報、持続可能性、マーケティング、イノベーションを担当してきた。

 

ヴァレオに於けるブーコ氏は、2万人のエンジニアと20の研究センター、40の開発センターから構成される研究開発ネットワークのグループトップとして大規模チームを率い、更にヴァレオに勤務する以前は、フランス政府で国防大臣の産業問題担当技術顧問を務め、フランス初の自動運転車用AIの専門研究所も設立した。

 

彼は自身のキャリアを通し一貫して、大規模なソフトウェアエンジニアリング部門を率い続け、人工知能や自動運転領域などのAI領域を、孤高の存在として渡り歩いてきた実績を持っている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。