アウディAG( 独インゴルシュタット発 )は6月3日、車両の開発ペースを一層加速させることを明らかにした。ちなみにこの現時点でアウディは、Audi Agenda( アウディ・アジェンダ )に沿ってアウディAGのゲルノート・デルナーCEO( Gernot Döllner )のリーダーシップの下、注力する分野を再定義している最中にある。
ちなみにこのアウディ・アジェンダとは、適切な課題に取り組み、アウディの生産車を、より迅速に市場投入するためのロードマップだ。そんなアウディ・アジェンダの核心は、顧客にとって重要なもの、つまり製品、テクノロジー、ブランド( 品質と革新性 )に焦点を当てている。
このテーマは、全世界各国で展開する全てのアウディブランドに当てはまる。しかしヨーロッパ、中国、北米毎に事業戦略の優先順位が異なるのが普通だ。そこで、これらの事業領域毎に具体的な作業パッケージと責任の所在が定義されており、今回、同ステップがいよいよ第2段階次へと向かうことなった。
より具体的には同社の監査役会は、取締役会の組織上に於いて「イノベーション分野+SDV(ソフトウェア デファインド ビークル)」を担当する専任職域を設けることを決めた。これに沿って、今後もクルマ造りに於いてソフトウェア開発が引き続き重要な役割を担うことを明示させた。
アウディAGの監査役会会長マンフレート・デス氏( Manfred Döss )は、「取締役に新しい役職を設ける同決定により、アウディは長期的なテクノロジー及びイノベーション戦略を強化して、SDVの開発に一層注力していきます。私たちは、ブーコ( ジェフリー・ブーコ氏 / Jeffrey Buco )が取締役会のメンバー全員と共に、アウディ・アジェンダを成功に導くための大きな推進力となってくれると確信しています」と述べた。
またアウディAGの監査役会副会長 兼 労使協議会議長を務めるヨルク・シュラグバウアー氏( Jörg Schlagbauer )は、「SDV及び革新技術の開発を重視するブーコがアウディ取締役に任命されたことは、Vorsprung durch Technik(技術による先進)に対する従業員の真摯な取り組みを強調するものでもあります。私たちは、組織に新しい風を吹き込み、アウディの明るい未来を構築するために、共に協力して取り組んでいくことを楽しみにしています」と語った。
今後、次世代を目指すアウディ・アジェンダが未来を築く土台となり、イノベーション&SDV担当取締役となったブーコ氏が、アウディAGそのものをソフトウェア中心の組織へと変革させていく役割を担う。
同社を率いるゲルノート・デルナーCEOは、「Vorsprung durch Technik( 技術による先進 )は、アウディにとっても我々が目指すべき未来を指し示す指針である一方で、アウディが歩むべき明日を探し求めていくためのキーワードであるとも言えるでしょう。今後も一層車両開発のペースを速めつつ、並行してクルマ造りの中核技術をソフトウェアへ重きを置き続けていくためには、過去の旧態依然とした自動車メーカーから離脱するための努力が欠かせません。
そのために我々は、今回ブーコを任命しました。この決定により我々は、まだ見致せずに居る次なる目標に向けて突き進むことができるのです。
そもそもブーコは、大規模なソフトウエア開発チームを率いて企業を変革させていくことに関して実に豊かな知見を持っています。彼のイノベーションに係る深い専門知識と力強いリーダーシップは、アウディの発展に大きく貢献してくれると確信しています」と畳み掛けた。
これを受けてブーコ氏は、「私にとってアウディという企業は、未来のモビリティ像を体現するべきブランドであり、エンジニアリングとデジタル化を融合させた明日のクルマを象徴するものです。そんな組織で新たな役職を得て働けることに心躍る気持ちです。私は、アウディと共に自らに課せられた役割を果たしていきたいと考えています」と話している。
そんなブーコ氏の直近の役職は、ヴァレオ( Valeo )グループに於ける最高技術責任者( CTO )兼 戦略担当シニアバイスプレジデントであり、彼は同職域で、企業戦略、研究開発、広報、持続可能性、マーケティング、イノベーションを担当してきた。
ヴァレオに於けるブーコ氏は、2万人のエンジニアと20の研究センター、40の開発センターから構成される研究開発ネットワークのグループトップとして大規模チームを率い、更にヴァレオに勤務する以前は、フランス政府で国防大臣の産業問題担当技術顧問を務め、フランス初の自動運転車用AIの専門研究所も設立した。
彼は自身のキャリアを通し一貫して、大規模なソフトウェアエンジニアリング部門を率い続け、人工知能や自動運転領域などのAI領域を、孤高の存在として渡り歩いてきた実績を持っている。