写真は当該プロジェクトに係るイメージ画像であり、両社のセンサー技術を搭載した対象バスとは異なる4Dイメージング技術のヴァイヤー(Vayyar Imaging Ltd./イスラエル)は7月17日(テルアビブ時間)、アイシンと日本国内に於ける通園バス運行時の園児置き去り防止対策で連携を加速させていくと発表した。
両社による当該プロジェクトは、既に1990年代から米国内で乗用車に放置される子供の死亡事故増加が顕著になった事で対応が進められていた。
しかし昨年9月、静岡県に於いて3歳の児童がバス内で5時間に亘って置き去りにされた後に亡くなった事件を受け、日本政府が素早く有事立法の起草に動いた事が、日本国内に於ける取り組みを加速させたひとつの契機となっている。
そんな車両内に於ける子供の存在検知(CPD/子供の車内放置検知)技術は、先の乗用車のみならず、幼稚園、保育園、特別支援学校、その他の障害を持つ子供達のためのデイケアセンターなど、様々な保育サービスを提供する何万台もの通園・送迎バス内でも必要となるもの。
そこでアイシンは、ひとまず日本国内の幼稚園等で運用される送迎バスを対象に、ヴァイヤーのレーダーオンチップ技術に基づく4Dイメージングレーダーを活用していく取り組みを加速させている。
ちなみにヴァイヤーによると、同社のセンサー技術は、単一レーダーオンチップを介して広視野の解像度を保持し、車両内と車両周囲の広範に検出。複数の静的および動的ターゲットを同時に捕捉する。従って既存の複数の単機能センサーと置き換える事が出来ると謳っている。
また今回の車室内に於ける4Dイメージングレーダー(60GHz)では、全乗員の存在・位置・サイズを的確に検出(レーダーは電波を送信して反射波を受信し対象物を把握するため)。これにより子供の存在検知のみならずシートベルトリマインダーやエアバッグ動作の最適化。位置ずれ警告、侵入者検知などにも応えられる。
一方、車外環境(79GHzシステム)では、駐車支援、自動緊急ブレーキ、車線変更支援、死角検出、交差交通警報、アダプティブクルーズコントロールなどを含むSRR(短距離レーダー)、MRR(中距離レーダー)、LRR(長距離レーダー)アプリケーションを個々の有効範囲を踏まえた上でサポートするという。
なお今回の取り組みについてヴァイヤー・ジャパンの田口智社長は「車両内で発生する子供の熱中症は、世界中で何千人もの命を奪っており、世界的な協調行動が必要な時が来ています。そんな重要な時期に於いて私達はアイシンと共に、同取り組みに参加出来る事を光栄に思います。
我々の4Dレーダーセンサーは、様々な条件下であっても堅牢かつ、プライバシー上の問題も回避出来るのみならず、子供達が車室内のどのような場所に居ても、的確に検出出来る感度を備えています」と話す。
対してアイシンの早川俊介プロジェクトゼネラルマネジャーは「当社が車両運行に関わる全ての人の命を守る事を目指しているなか、両社のパートナーシップは車内安全の保全に於いて中核技術のひとつとなっています。
なかでも今回の幼稚園バスの送迎運行に於いては、子供達の存在検出は不可欠かつ緊急事案であるため、我々は世界をリードする最先端のセンサー技術を必要としています。
これを踏まえた上で同社が関わる車内安全環境技術は、シートベルトリマインダーからエアバッグ抑制まで、複数の自動車OEMによっても高く評価されています」と語っている。