SOLiTHOR の新しい最先端の施設蓄電池ベンチャーのSOLiTHOR(ソリトール)は12月12日(ベルギー・リンブルフ州シント=トロイデン発)、液体電解質を一切持たないリチウム電池開発で、試作段階を超えて、リチウム金属アノードを使用した完全全固体リチウム電池の量産試作に向けて漕ぎ出したことを明らかにした。
同社によると、半固体電池とは異質の新型電池開発にあたって最も重要な課題は、ユニット内に於いて電気化学的特性と機械的特性の両立を維持しながら、固体電解質ユニットの厚みを極限まで薄くすることにあるという。
ソリトールは、過去 18 か月余りの開発期間を経て、固体電解質コンポーネントの厚さを 18分の1に減らし、固体電解質セパレータ厚35μm (+/-5μm)を達成した。
そもそも同社は、当初から電動航空機並びに空飛ぶクルマ、航空宇宙分野に焦点を当て続けており、ひたすら当該用途に適した独自の充電式全固体リチウム電池セル実現のための技術を磨いてきた。
現在、完成に近づきつつある薄型セパレータは、航空業界が求める厳しい安全要件を満たすだけでなく、航続距離の延長・軽量化という面でも、より高いエネルギー密度を達成させるための最重要ステップとなる。
ソリトールのヒュー・ハンプソン・ジョーンズCEOは、「当社は、航空機の完全電動化を可能にするための技術開発に取り組むだけでなく、機体に搭載できる最終製品の製造・商品化自体を創業の目的としています。
そこで、この目標を達成させるべく我々は昨年 8 月、シント=トロイデン内に約3,000平方メートル敷地面積を持つ最新鋭施設を設けました。この新たな施設では、電動航空機や電動船舶用の実証セル製造を視野に400平方メートルの乾燥室を含む新たなパウチセル製造設備を導入。
目下スタックレベルで700Wh/Lを実現した蓄積技術を糧に、今は800+Wh/Lスペックの量産向けスタックの開発に取り組んでいます。ちなみに現段階で、その歩みは245Wh/kgを達成しており、第1世代となる実証製品の短期目標を327Wh/kgとしています。
また施設内に設けた新テストセンターでは、製品仕様を電動航空機の飛行認証プログラムに準拠させるべく研究・開発に取り組んでおり、現場での熱機械特性で我々の固体電解質コンポーネントは120°Cの高温に耐えられる段階に到達しています。
これは常にセパレーターが、あらゆる条件 (温度) で正極と負極を確実に分離する必要があることから大きなアドバンテージになります。今後、我々の充電式全固体リチウム電池は、電動航空機領域を出発点に、電動船舶へと用途の幅を広げていき、いずれ大規模量産技術を蓄積した暁には、電動モビリティ分野へと進出していく考えです」と話している。