SkyDriveは8月10日、「空飛ぶクルマ」の開発を加速するべく、自社での研究に加え、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)の協力の元、空力特性に関する研究を開始した事を発表した。
空力特性は空飛ぶクルマの安全性にも大きく影響するため、実機を用いた試験データが必要となる。SkyDriveの空飛ぶクルマに搭載候補としている大きなプロペラの試験データ収集を実現できるのが、JAXAが保有する日本最大の風洞試験設備であった。空飛ぶクルマに関するデータは、これまでSkyDriveが独自で蓄積・研究してきたが、今後はJAXAの協力を得る事で開発をスピードアップを目指す。
空飛ぶクルマのプロペラは飛行機やヘリコプターと異なる用い方をしており、その空力特性には未知の領域が存在する。空気がプロペラにどのような影響を与えるかを正確に把握することは、機体を開発していく上で最重要要素の一つとなる。空力特性を踏まえて、プロペラの形状や回転数を最適化することが、電力活用の高効率化、飛行の安定化、静音化などの性能向上につながるとも言える。
JAXAは、日本最大の航空機用風洞試験設備を有しており、飛行機やヘリコプター等、これまで日本で開発された航空機のほぼすべてが、この施設で風洞試験を実施し、それらのデータをもとに空力に関する研究が行われ、特性把握や性能向上が図られている。
SkyDriveは、今回、開発を進めている空飛ぶクルマに搭載候補としているプロペラを用いて、JAXAの風洞を用いて風洞試験データを取得した。なお、空飛ぶクルマのプロペラがこの設備で風洞試験を行ったのは、今回が日本で初めての事例。
空飛ぶクルマの開発には、風洞試験と計算流体力学(Computational Fluid Dynamics:CFD)による解析の連携が今後ますます必要になってくる。今後、SkyDriveは今回の試験をさらに発展させ、機体を使った風洞試験や計算流体力学による解析、加えて飛行データの解析を合わせ、JAXAと研究開発を進めていきたいとしている。