横浜市は6月から横浜駅東口から山下ふ頭間を国産初のハイブリッド連節バスで結ぶ新路線「BAYSIDE BLUE(ベイサイドブルー)」の運行を始める。運行に先立って、2月10日、新港ふ頭客船ターミナル(横浜ハンマーヘッド)で関係者および報道機関を集めた車両発表会および試乗会を実施、一般向けにも同日午後、第2駐車場で車両展示を行なった。
ベイサイドブルーのお披露目に出席した平原敏英副市長(右)その隣、横山正人横浜市議会議長
ベイサイドブルーに導入した連節バスは、日野自動車の「ブルーリボン」ハイブリッド連節バス。乗員数113人で、後部車両には、標準車にない対面のボックスシート(4人座席)を配置した。
主催者を代表して平原敏英副市長があいさつ、2015年に策定した横浜市臨海部再生マスタープランに基づいて導入された新路線であり、観光客を含めた地域の回遊性を高めるシンボル的な交通システムであることを強調した。
観光を意識したバス路線としては、横浜駅東口を起点とする「ぶらり三渓園BUS」「ぶらり赤レンガBUS」「ぶらり野毛山動物園BUS」の3路線、また桜木町駅を起点とする「あかいくつ」「ピアライン」の2路線を運行している。
今回、運行を計画している「ベイサイドブルー」は、横浜駅東口を起点に臨海部の主要施設である横浜ハンマーヘッド、赤レンガ倉庫、大さん橋客船ターミナル、山下ふ頭までのすべてを結ぶ片道約6キロメートルのルートだ。復路は一部で異なるが原則同じルートを辿る。
運行時間は朝10時台から夕方19時台までの20便、概ね30分間隔で運行される計画だ。運賃は未定としているが、「ピアライン(大人220円)などと大きく運賃体系を変えることはできない。バス停の設置場所など詳細計画は別途発表する。
最小回転半径が9.7メートルと意外と小さく、小回りする連節バス。バッテリーは前部車両の屋根上に配置
導入車両は、日野・いすゞ連合で開発した国産初のハイブリッド連節バスで、計4台を入れた。入札価格は4億円で、横浜日野が応札した。車両本体価格は8800万円だが、その半分が国の補助、さらにその半分(全体の4分の1)が横浜市の補助となる。入札には車両本体以外に、最新の車内案内表示システムの導入費用なども含まれている。
ボデーカラーは、青い海ときらめきを表現した「マットメタリックブルー」を採用、白い波(かもめ)が描かれている。
車両全長は約18メートルで、一般の大型バスに比べ1.6倍の長さとなるが、最小回転半径は9.7メートルと通常のバス(9.3メートル)に比べわずかな膨らみに抑えている。車幅は、日本の道路事情に合わせ、2.5メートル以内に抑えているのが国産車の優位性となる。
記者会見に臨む都市整備局及び交通局の幹部
とはいえ実際の公道を走るにあたっては、交差点などの隅切りなど安全走行に欠かせない改良工事が必要なほか、長い車両を停めるためのバスベイ(バス停)の設置など手間をかけている。また運転手23人を対象に、運転技量習得に時間をかける。カメラ9台を装備し、死角をなくしているが、連節バス特有のクセなどを体得する必要がある。
特に「大桟橋前の卍型交差点では、連節バスの前車両と後車両がねじれがあり、対向車とのすれ違いなどに注意が必要になる」(交通局)という。
日野自動車の山口誠一チーフエンジニア(車両企画部)は、ドライバー異常時対応システム(EDSS)を標準装備したほか、8段のAMT搭載に仕様変更したことに触れ、「ハイブリッドのエネルギー・マネジメント上、優位になると判断した」と強調した。(佃モビリティ総研・間宮潔)