矢野経済研究所は、世界のドローン市場を調査し、軍用から民生用までのドローン(UAV、UAS)などの無人航空機とそのシステムを含めた現況、需要分野別、将来展望について、その概要を2月20日に公表した。
調査は、2019年6月~9月の期間、ドローン製造企業、オペレーション企業、ユーザー企業等を対象に、矢野経済研究所の専門研究員による直接面談調査、および文献調査を併用して行われた。
この結果、2018年のドローン世界市場規模は、軍用需要と民生需要(産業用機体、個人用(ホビー)機体、機体を活用した商用サービス)の合計で約1.6兆円(1USドル=110円で換算)。2020年から2025年の年平均成長率(CAGR)を、8.3%と予測した。
なお、軍需用ドローンの同年平均成長率が4.1%に留まるのに対して、民間(産業用+個人用)ドローン機体は同11.7%、ドローン機体を活用した商用サービスでは同15.5%の成長を予測している。
ドローンを活用した商用サービス分野別の概況と展望
また、ドローンを活用した商用サービス分野の世界市場規模については、2020年から2025年の年平均成長率(CAGR)を15.5%と予測。
前回の2016年調査で最大のサービス分野になると予測した点検・検査分野では、社会インフラ保全のための点検や災害時における状況把握などの需要により、2016年調査時の予測を大きく超える結果となった。
ドローンを活用した商用サービス分野のうち、最も成長率が高いのは輸送・配送サービス分野で、2020年から2025年におけるCAGRは29.7%を予測。現状ほぼゼロであるために高い成長率となったが、これは今後、主な先進国においてドローンを活用した輸送・配送サービスに対する許認可が進むとみられることを鑑みての結果だと云う。
一方で最も低成長な分野として、測量・マッピングを挙げ、2020年から2025年におけるCAGRを10.7%と予測。
その理由について、土木測量では、すでにドローンが活用されていること、また利用は徐々に拡大するが、高精度な測量や3Dマッピングにはドローン活用が期待されるものの、活用範囲がある程度限られるとみられるからだと云う。
[調査におけるドローン市場の定義]
ドローンは、無人航空機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)や、UAVとこれをコントロールする地上操縦装置(GCS: Ground Control Station)を包含して無人航空システム(UAS: Unmanned Aircraft System)とも呼ばれるが、米国連邦航空局(FAA:Federal Aviation Administration)では、UASを正式名称としている。
一方、国際民間航空機関(ICAO:International Civil Aviation Organization)では、飛行体は無人であるとは言え、遠隔操縦に人間が介在し、完全な自律(Autonomous)ではないため、完全自律航行システムと区別するために遠隔操縦航空機システム(RPAS: Remotely Piloted Aircraft Systems)を正式な呼称として用いている。そのため、ヨーロッパ圏ではRPASと呼ばれることも多い。
同調査では、上記の無人航空機、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)、UAS(Unmanned Aircraft System)、RPAS(Remotely Piloted Aircraft Systems)を全てを対象とし、操縦信号が途切れた時にはその場でホバリングしたり、電池残量を判断して自動的に出発地点に戻ったりするなど、自律的な制御が伴うものを「ドローン」と定義。
また、UAVであって、少なくとも自動で姿勢修正を行うなどある程度の自律制御(autonomy)が備わっているものとし、映像の撮影など何らかのタスクを実行することを目的とした機体としている。なお、操縦者のコントロールに依存するいわゆるラジコンは対象外となる。
<市場に含まれる商品・サービス>
ドローン、UAV、UAS、無人航空機、流通小売、一般・事業所向けサービス、金融 / 環境・エネルギー、自動車、機械、エレクトロニクス、点検、検査、測量、マッピング、3Dモデリング、警察、消防、救急、輸送、配送、エンターテイメント、撮影、空撮。
[調査要綱]
– 調査期間: 2019年6月~9月
– 調査対象: ドローン製造企業、オペレーション企業、ユーザー企業等
– 調査方法: 当社専門研究員による直接面談調査、および文献調査を併用
[出典資料]
– 資料名:2019 ドローン(UAV/UAS)の世界市場と将来予測
– 発刊日:2019年10月08日
– 体裁:A4 106ページ
– 定価:150,000円(税別)
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