ヤンマーホールディングスのグループ会社であるヤンマーエネルギーシステム(以下、YES)は、温泉廃熱を利用した小型のオーガニックランキンサイクル式発電機(以下、ORC発電機)を開発し、試験機を長野県諏訪市のあやめ源湯へ設置した。
ORC発電機は、低温の蒸気や熱水といった、水よりも沸点の低い媒体を活用する発電機で、工場廃熱や温泉熱、地熱などの廃熱を有効活用するため、これまでも国内外で開発されてきた。しかし、従来のものは、地熱活用など大規模なものが多く、また個別に対応が必要となることから、導入先が限定される、コスト高になるなどの課題があったと云う。
そこでYESは、10kW未満の小型ORC発電機をパッケージ化した商品を開発。パッケージ化により、施工性の向上や複数台設置の簡易化を実現し、案件ごとに最適な容量の提案を可能とした。
YESは今後、ORC発電機を、国内にある温泉や工場などに、小規模な熱源を活用するためのソリューションとして提供していくとしている。
<システムの概要>
【仕様】
– システム方式:オーガニックランキンサイクル方式
– 定格出力:9.0kW (熱源90℃、冷却源20℃の場合)
– 大きさ:幅807mm × 奥行2,009mm × 高さ1,675mm
【特徴】
・比較的低温(70℃~95℃程度)の廃熱から発電が可能。
・熱回収から系統連系に必要な機器をコンパクトに組込んだパッケージ発電機。配管・配線接続のみで設置可能。
・10kw未満の超小型発電機だが、連結可能で柔軟に容量対応が可能。
■諏訪市の実証事例について
諏訪市では、家庭や共同浴場への温泉給湯など、豊かな温泉資源を活用した事業を行ってきたが、その契約件数が年々減少傾向にあることから、その新たな活用方法を模索。YESとの協議を重ね、温泉廃熱を活用した小型ORC発電を試験導入することとし、その試験機を諏訪市のあやめ源湯へ設置した。
<実証の概要>
– 設置場所:諏訪市 あやめ源湯
– 発電出力:8kw
– 想定発電量:約7万kWh/年
– 発電開始日:2020年8月4日
– 実証期間:1年間
– 保守管理:ヤンマーエネルギーシステム
■(ヤンマー)未利用熱を無駄なく利用し電気を作る廃熱発電システム:https://www.yanmar.com/jp/energy/solution/binary/