ヤマト運輸(本社:東京都中央区、代表取締役社長:長尾裕)とSHKライングループ傘下の東京九州フェリー(本社:福岡県北九州市、代表取締役社長:小笠原朗)は9月27日、海上輸送を活用したモーダルシフトを加速化させる。( 坂上 賢治 )
両社は昨年の2021年7月から、関東―九州間の海上輸送を活用したモーダルシフトを開始した。これを以降は順次輸送規模を拡大。この2022年9⽉からはその規模を開始当初の6倍まで拡大。今後は同取り組みを通じて更なるモーダルシフトを推し進め、環境負荷低減と輸送効率の向上を図っていく。
出所:国土交通省 総合政策局 物流政策課 物流効率化推進室
ちなみにモーダルシフト( 旧様式を指す〝トラックによる輸送モード〟を転換させる意味 )とは、トラックによる幹線貨物輸送を「地球環境への負荷を低減させつつ大量輸送が出来るよう鉄道や海運へ転換」する事を指す。
そんなモーダルシフトという言葉は、1981年の運輸政策審議会の答申で輸送事業に於ける省エネルギー対策として初めて登場した。当初は運転者の労働課題の改善を旗頭に、鉄道輸送の利用拡大に動いたのだが、長距離雑貨輸送に於ける鉄道の利用拡大は、これに取り組んだ官民双方の思う通りには進まなかった。
出所:国土交通省 総合政策局 物流政策課 物流効率化推進室
その理由は〝トラック貨物との相互調整の行き詰まり〟、〝貨物量の確保〟、〝荷物の積み替えに係る効率性〟など様々だが、いずれにしても数年周期でモーダルシフトの必要性が叫ばれては下火になるといった流れが続いた。
そうしたなか昨今は、環境負荷低減の解決策として海上輸送を利用するモーダルシフトの方が大きく進み出している。
今回、ヤマト運輸と東京九州フェリーは、2021年7⽉に関東―九州間のトラック長距離輸送の一部を、東京九州フェリーの海上輸送に切り替え、横須賀港(神奈川県)―新⾨司港(福岡県)間でフェリー輸送を開始。
これにより、従来のトラック長距離輸送に比べ、輸送における温室効果ガス排出量を年間約1,400トン(約66%/トラックとフェリーで同じ輸送重量を想定した場合の従来トンキロ法に基づく推計値による比較)の削減効果を確認。
そこで同区間の輸送規模を拡充し、更なる環境負荷低減と輸送効率向上を図る事で持続可能な社会の実現への貢献を目指す。
具体的な運用フローは以下の通り
(1) 東京都品川区のヤマト運輸ベース店から九州向けの荷物をトラック(SHKライングループ傘下のマリネックスのトレーラーを活用)へ積み、横須賀港(神奈川県)へ輸送。
(2) 横須賀港でシャーシのみをフェリーに積載し、新門司港(福岡県)までフェリーで海上輸送。
(3) 新門司港に到着後、福岡県福岡市のヤマト運輸ベース店へ同トラックで輸送する。
今後両社は引き続きフェリーによる海上輸送で協⼒し、更なる環境負荷低減と輸送効率向上に繋げる事で、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと話している。