ヤマハ発動機は9月20日、MotoGPライダーのジャック・ミラー選手との契約を決めた。ミラー選手は2025年シーズン、「Prima Pramac Yamaha Factory Team」からミゲール・オリベイラ選手とMotoGP世界選手権に参戦する。
ミラー選手は主にMotoGPとMoto3で活躍してきた。これまでにMotoGPで23回、Moto3で10回、合計33回表彰台を獲得。このうち10回(MotoGPx4回、Moto3x6回)は優勝で、豊富な経験と卓越した技術を併せ持つベテランライダーの一人として、ヤマハのライダーラインアップの一角を担う。
ミラー選手は「Prima Pramac Yamaha Factory Team」との縁も深く、2018~2020年の3年間、同チームに所属。2019年に5回、2020年に4回の表彰台を獲得した。
来シーズン、ミラー選手にはファクトリー仕様の2025年型「YZR-M1」を供与。フルサポート体制のもと来シーズンに挑む。
ジャック・ミラー選手の獲得についてYamaha Motor Racingマネージングディレクターのリン・ジャービス氏は、「ジャックが来シーズン、Prima Pramac Yamaha Factory Teamに加わることになり非常にうれしく思います。
ヤマハMotoGPグループへの加入を心から歓迎します。MotoGPで10年間、そのなかで3つのメーカーを経験してきたジャックは、ヤマハにとって非常に貴重な戦力になるでしょう。
彼の持つスピードや知識、仕事への姿勢、チームスピリットなどの素晴らしい能力は、この先にM1の性能向上を目指す私たちのプロジェクトに不可欠な要素です。ヤマハはあらゆる側面で彼をサポートしていきます」と述べている。
ライダープロフィール
生年月日:1995年1月18日
出生地:オーストラリア・クイーンズランド州タウンズビル
国籍:オーストラリア
身長:173cm
体重:64kg
GPデビュー:2011年/ドイツGP(GP125)
MotoGPデビュー:2015年/カタールGP
GP初優勝:2014年/カタールGP(Moto3)
MotoGP初優勝:2016年/オランダGP
GP優勝回数:10回(MotoGPx4回、Moto3x6回)
表彰台回数:33回(MotoGPx23回、Moto3x10回)
スプリント表彰台回数:2回(2023年スペインGP、ドイツGP)
ポールポジション回数:10回(MotoGPx2回、Moto3x8回)
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主な成績
2024年 MotoGP世界選手権:ランキング15位(58ポイント)※第13戦サンマリノGP終了時
2023年 MotoGP世界選手権:ランキング11位(163ポイント)
2022年 MotoGP世界選手権:ランキング5位(189ポイント)
2021年 MotoGP世界選手権:ランキング4位(181ポイント)
2020年 MotoGP世界選手権:ランキング7位(132ポイント)※Pramac Racingから参戦
2019年 MotoGP世界選手権:ランキング8位(165ポイント)※Pramac Racingから参戦
2018年 MotoGP世界選手権:ランキング13位(91ポイント)※Pramac Racingから参戦
2017年 MotoGP世界選手権:ランキング11位(82ポイント)
2016年 MotoGP世界選手権:ランキング18位(57ポイント)
2015年 MotoGP世界選手権:ランキング19位(17ポイント)
2014年 Moto3世界選手権:ランキング2位(276ポイント)
2013年 Moto3世界選手権:ランキング7位(110ポイント)
2012年 Moto3世界選手権:ランキング23位(17ポイント)
2011年 GP125世界選手権:6戦出場(0ポイント)
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経歴
ジャック・ミラー選手はダートでキャリアをスタート。2009年にロードレースに転向し、IDM125(国際ドイツモーターサイクル選手権)でチャンピオンを獲得し、その後ロードレース世界選手権GP125でデビューした。
2013年シーズンはRacing Team GermanyからMoto3に出場してコンスタントに上位争いを展開。2014年のMoto3では、Red Bull KTM Ajoから出場し、アレックス・マルケス選手に2ポイント差に迫るランキング2位を獲得して翌2015年は飛び級でMotoGPに昇格した。
MotoGPの1年目、2015年はルーキーとしてタフな戦いが続き、翌2016年も足の骨折をはじめ怪我に苦しんだが、第8戦オランダGPで遂に初優勝。翌2017年もEstrella Galicia 0,0 Marc VDSから参戦を続け、2018年にはPramac加入と共にホンダからドゥカティに乗り替えた。
2018年はより一層、安定感が増し、ポールポジションも獲得するなど好調なシーズンを送った。2019年もPramac Racingに残ったミラー選手は、表彰台を5回獲得して最終ランキング8位。2020年も表彰台4回を含む活躍でランキング7位と健闘したが、ドゥカティでのMotoGP優勝は、なかなか実現しなかった。
2021年にドゥカティのファクトリーチームに加入すると、2回の優勝を含む合計3回の表彰台を獲得してランキング4位と活躍。2022年は表彰台回数を7回とし、日本GPでは自己最高のパフォーマンスとも言える圧勝で注目を集めた。
ドゥカティで5シーズンを戦ったあと、2023年はKTMに移籍。第4戦スペインGPではスプリントとメインレースの両方で表彰台を獲得。第7戦ドイツGPもスプリントで表彰台に立ったが、シーズン後半戦は実力を出し切れず苦戦が続いた。
2024年シーズンに入り、ミラー選手はチャレンジを決断。2025年は自身にとって古巣のPramac Racingに戻り、ヤマハ・ファクトリー・ライダーとして新たな道を切り開いていく構えだ。