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2024年4月26日【MaaS】

ヤマハ発動機の無人ヘリ、離島の生命線を担う

坂上 賢治

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生活物資を積んで、奄美大島から与路島に飛ぶ産業用無人ヘリ「FAZER R G2」(写真はAID社提供)

 

平時は生活用品、医療品や学校給食の食材を積んで定期運航

 

奄美大島から定期船で約1時間、青い海に”離島の離島”と言われる与路島と請島(ともに鹿児島県大島郡瀬戸内町)が浮かぶ。二つの島には合わせて150人ほどの島民が暮らしており、日用品等を運ぶ頼みの定期船は高波などで欠航することも少なくないため、不安定な生活物流が大きな課題となっている。

 

そうしたなか瀬戸内町と日本航空(JAL)が共同で設立した奄美アイランドドローン(AID社)の運航によって、島の上空にヤマハ発動機の産業用無人ヘリコプター「FAZER R G2( UMSマルチソリューション )」を用いた定期便が飛んでいる。

 

この機体は、隔週で2便ずつ、奄美大島側のヘリポートから医療品や学校給食の食材、新聞等を運んでおり、その活躍ぶりは、頼れる生活インフラとして島民から歓迎されており、現在、無人ヘリの機長にあたるオペレーターは、JAL本社(東京・天王洲)の一角に据えられた基地局から、約1,300キロ離れた現地の運航補助者と連携して遠隔操作を行っている。

 

衛星通信運航で災害発生時は緊急支援物資で島民の暮らしをサポート

 

この機体を操縦するAID社の石井啓吾氏(JALより出向)は、「就航の背景には自然災害への備えがあります。3年半ほど前、災害時の物資輸送について瀬戸内町から頂いた相談を切っ掛けに、時間を掛けて検討を重ねてきました。

 

こうして島の暮らしを支える定期運航を重ねていくことで、発災時に即時の対応ができるよう備えているという側面もあります。

 

ただ、この運航を定着させていくためには、地元人材の操縦者を養成していくことが不可欠だと考えています。より地域に根差した事業体制を築いていくために、今後、運航ノウハウの移管等も順次進めていきたいと考えています」と語っている。

 

与路島の港に到着する無人ヘリとそれを迎える島民

無人ヘリによって運ばれるのは、医療品や給食食材、新聞など

 

そんな無人ヘリの定期運航が始まって、思わぬメリットの発見もあった。例えば悪天候等による船舶の欠航は、比較的、早い段階で決定される。その後、気象条件が回復しても出航することはない。

 

一方、船舶の約半分の30分程度で島に到着する無人ヘリは、フライトの直前までその判断を待つことができる。現在、無人ヘリが運んでいる物資の中には奄美大島で調合された島民のための処方薬なども含まれており、こうした長所も、災害時などでは大きな力となる。

 

南北約200キロの洋上に大小の島々が点在する奄美群島。しかし災害時、集落孤立化等が懸念されるのは与路島と請島だけではない。AID社では、ドローンを活用して島の暮らしを支える”離島モデル”を、奄美群島全体に展開していくことも見据えている。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。