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2024年6月10日【イベント】

鈴鹿8耐、ヤマハ発動機のトップチームはEARTに

坂上 賢治

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2024鈴鹿8耐は、「ヤマルーブYARTヤマハEWC」が勝利を目指す

 

ヤマハ発動機は、来たる7月19日(金)~21日(日)に開催される“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第45回大会に、世界耐久選手権(EWC)にレギュラー参戦する「#1 YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team(運営母体:YART/Yamaha Austria Racing Team)」が、ヤマハ発動機株式会社のトップチームとして出場する。

 

Yamaha Austria Racing Teamは、元ライダーのマンディ・カインツ氏が代表を務め、オーストリアを拠点にヤマハ製品を扱うディーラーとして、また世界耐久選手権(EWC)への参戦など、様々な活動を行っている。

 

レース活動は2001年より開始し、翌2002年にはEWCに本格参戦をスタート。2005年にランキング3位を獲得すると、その後も2位、3位、2位とチャンピオン争いを繰り広げ、2009年には4勝を挙げてシリーズチャンピオンに輝いている。

 

 

ただ近年を見ると、予選・レースともに絶対的な速さを持ち、常にチャンピオン候補にも挙げられてきたYART。しかしシーズンは4〜5戦と少なく、一つのミスがチャンピオン争いからの脱落に繫がるため、トップクラスの強さを持ちながら、不運によりチャンピオンからは遠ざかってきた。

 

しかし、2020年のチームメンバー結成からトリオで参戦し続けて来た2023年は、ル・マン24時間での2位に続き、スパ24時間で14年振りとなる勝利を挙げランキングトップに浮上。

 

続く鈴鹿ではマシントラブルで22位と、ライバルに13ポイント差のランキング2位となったが、最終戦のボルドール24時間で4位とし、逆転で2009年以来となるチャンピオンを獲得した。

 

2024年は、YARTのトレードマークである#7から、ディフェンディングチャンピオンとして#1に変更。連覇を目標にル・マン24時間に参戦し、ここで3位し幸先の良いスタートを切った。

 

第2戦スパ8時間耐久では、2戦連続でポールポジションを獲得すると、ライバルとの接戦を制し、昨年のスパ24時間に続き2連勝。ランキングは2位のままだがトップに1ポイント差に迫り、鈴鹿では初の表彰台、そしてランキングトップを目指すこととなる。

 

そんなYARTへヤマハ発動機は、「YZF-R1」への技術的なサポートを行う他、大会本番ではチーム運営を支援。年間タイトルの獲得と、YARTにとっては念願となる鈴鹿8耐での表彰台獲得を共に目指す。

 

 

マシンは、チーム名にもあるヤマハ発動機の純正オイル・ケミカルブランド「YAMALUBE(ヤマルーブ)」のロゴを配した、鈴鹿8耐専用グラフィックを纏った「YZF-R1」を使用する。

 

 

ライダーは、先の通りトリオを組み続け、互いを信頼しているニッコロ・カネパ選手(イタリア)を筆頭に、マービン・フリッツ選手(ドイツ)、カレル・ハニカ選手(チェコ)。そしてチームの指揮を執るのはマンディ・カインツ監督となる。

 

3人のライダーのプロフィールは以下の通りだ

 

 

Karel Hanika(カレル・ハニカ/国籍チェコ共和国:生年月日1996年4月14日)は、7歳でミニバイクのレースを始め、125ccのオーストリアとチェコのチャンピオンになるなどキャリアを順調に重ね、2012年、レッドブルMotoGPルーキーズカップに参戦し3勝をあげて3位。2013年は、7勝をあげてチャンピオンを獲得。同時に、ヨーロッパMoto3チャンピオンにも輝いた。2014年にはMoto3世界選手権への参戦を開始したが振るわず、2016年にMoto3でのキャリアを終了。2017年にはMoto2にワイルドカードで参戦している。

 

2019-2020シーズンからYARTに加入すると、セパン8時間とエストリル12時間でチームの優勝メンバーの一人として活躍し、ランキング2位の獲得に大きく貢献した。そして2021年以降もYARTに残りメンバーに定着。YARTにさらなる速さをもたらし、2023年にはベルギーのスパで自身初となる24時間レースを制するとともに、エンデュランスレースの世界チャンピオンの一員となった。

 

Racing Career
2010年 :

 - Alpe Adria 125GP選手権 チャンピオン
 - チェコ125GP選手権 チャンピオン
 - オーストリア 125GP選手権 チャンピオン
2011年 :

チェコ125GP選手権 チャンピオン
オーストリア 125GP選手権 チャンピオン
2012年 :Red Bull MotoGP Rookies Cup ランキング 3位
2013年 :

 - Red Bull MotoGP Rookies Cup チャンピオン
 - European Moto3 Championship チャンピオン
2014年 :Moto3世界選手権 ランキング 18位
2015年 :Moto3世界選手権 ランキング 18位
2016年 :Moto3世界選手権 ランキング 37位
2017年 :Moto2世界選手権 ワイルドカード参戦
2018年 :スーパーバイク世界選手権 ワイルドカード参戦
2020年 :世界耐久選手権 ランキング 2位
2021年 :世界耐久選手権 ランキング 6位
2022年 :世界耐久選手権 ランキング 6位
2023年 :世界耐久選手権 チャンピオン

 

 

 

Marvin Fritz(マービン・フリッツ/国籍ドイツ :生年月日1993年4月20日)はドイツのロードレース選手権IDMを主戦場としてきたライダー。4歳でモトクロスレースを始めたが、2002年(9歳)にロードレースへ転向すると、翌年には国内のミニバイクレースでチャンピオンを獲得。2006年から2010年までIDM125ccで腕を磨き、2009年には自己最高となるランキング2位を獲得した。

 

2012年にヨーロッパ選手権の600ccへステップアップを果たすと、翌年、再びIDMに戻り、2014年にはYZF-R6でスーパースポーツ600のチャンピオンを獲得。さらに2016年、IDM最高峰のスーパーバイクでチャンピオンとなり、2016-2017シーズンから、YARTのレギュラーライダーとしてEWC参戦を開始。すぐに耐久レースに順応し、現在までに何度も表彰台に立ち、チームにとって欠かせない存在へと成長した。

 

そして2023年は、自身初となる24時間レースを制するとともに、チームメイトに同等かそれ以上の高い能力でチームを牽引し、YARTで初となる世界チャンピオンに輝いた。

 

Racing Career
2006年 :IDM 125cc ランキング 11位
2007年: IDM 125cc ランキング 3位
2008年 :IDM 125cc ランキング 4位
2009年 :IDM 125cc ランキング 2位
2010年 :IDM 125cc ランキング 6位
2012年 :ヨーロッパ選手権 スーパーストック600 ランキング 23位
2013年 :IDMスーパースポーツ600 ランキング 15位
2014年 :IDMスーパースポーツ600 チャンピオン
2015年 :IDMスーパーストック1000 ランキング 4位
2016年 :IDMスーパーバイク チャンピオン
2017年 :世界耐久選手権 ランキング 3位
2018年 :世界耐久選手権 ランキング 16位
2019年 :世界耐久選手権 ランキング 4位
2020年 :世界耐久選手権 ランキング 2位
2021年 :世界耐久選手権 ランキング 6位
2022年 :世界耐久選手権 ランキング 6位
2023年 :世界耐久選手権 チャンピオン

 

 

 

Niccolò Canepa(ニッコロ・カネパ/国籍イタリア :生年月日1988年5月14日)は、2007年、スーパーストック1000 CUPでチャンピオンを獲得している他、MotoGP、Moto2、スーパーバイク世界選手権などに参戦してきた実力と経験を兼ね備えたライダー。近年もスーパーバイクに参戦するヤマハチームのテストライダーを務めて、MotoEに参戦するなど、経験を生かして着実なキャリアを積み上げている。

 

一方、世界耐久選手権での活躍も著しい。2016年から3シーズンにわたって、ヤマハのエンデュランスチームの一つであった「GMT94」に在籍。2016-2017シーズンにはチャンピオンに輝き、2017-2018シーズンにはランキング2位の獲得に貢献した。

 

2018-2019シーズンからYARTに加入すると、チームを何度も上位に導いており、鈴鹿8耐でもハニカ、フリッツとともに、国内外のトップチームと互角に渡り合うために不可欠な戦力となった。そして2023年、念願の世界チャンピオンを獲得、次の目標としてEWC連覇、鈴鹿8耐での表彰台を掲げ、チームを牽引している。

 

Racing Career
2005年 :ヨーロッパ選手権スーパーストック600 ランキング 4位
2006年 :ヨーロッパ選手権スーパーストック600 ランキング 2位
2007年 :FIM CUPスーパーストック1000 チャンピオン
2008年 :世界選手権スーパーバイク ランキング32位
2009年 :世界選手権MotoGP ランキング 16位
2010年 :世界選手権MotoGP2
2011年 :FIM CUPスーパーストック1000ランキング5位
2012年 :世界選手権スーパーバイク ランキング20位
2013年 :世界選手権スーパーバイク ランキング24位
2014年 :世界選手権スーパーバイク ランキング13位
2015年 :世界選手権スーパーバイク ランキング16位
2016年 :

 - 世界耐久選手権 ランキング2位
 - 世界選手権スーパーバイク ランキング19位
2017年 :世界耐久選手権 チャンピオン
2018年 :世界耐久選手権 ランキング 2位
2019年 :世界耐久選手権 ランキング 4位
2020年 :

世界耐久選手権 ランキング 2位
 - MotoE World Cup ランキング 9位
 - 2021年 :

 世界耐久選手権 ランキング 6位
 MotoE World Cup ランキング 9位
2022年 :世界耐久選手権 ランキング 6位
2023年 :世界耐久選手権 チャンピオン

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。