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2025年2月10日【事業資源】

ヤマハ発動機70周年、2025年のモータースポーツ体制を発表

坂上 賢治

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ヤマハ発動機は1955年7月1日の創立から数えて今年で70周年を迎える。同社のモータースポーツ活動も、この創立から10日後の「第3回富士登山レース」で開始していることから同じく70周年という節目を迎える。

 

この間、同社は常にモータースポーツ活動を継続してチャレンジし続け、そのチャレンジ・スピリットを原動力に未来を切り拓いてきた。そんな同社は、2025年も1955年当時と同様に「挑戦するこころ」を忘れず、基本方針である「ブランド価値の向上」、「市販車への技術フィードバック」、「モーターサイクルレースの健全な普及」を目的に活動を行う。

 

まずMotoGP世界選手権では昨年、「変革」を掲げて国内外の多様性に富んだ人財を登用し、開発体制やシステム、組織を刷新して、当社MotoGPマシン「YZR-M1」の開発を推し進めてきた。

 

MotoGP世界選手権への参戦ライダー達

 

2025年もこの「変革」を継続し、当社とYamaha Motor Racingのより緊密な協力関係を築くと共に、Pramac Racingとのパートナーシップによるダブルファクトリー体制を構築。ファクトリーチームの「Monster Energy Yamaha MotoGP」に加え、昨年のMotoGPチャンピオンチームである「Prima Pramac Yamaha MotoGP」をセカンド・ファクトリーチームとし、2022年以来の2チーム4台体制とすることで開発の速度と質を高めて、再び世界の頂点を目指す。

 

MotoGPと共に力を入れるのが、「モーターサイクルレースの健全な普及」であり、その柱となる人財育成活動「BLU CRU」(ブルー・クルー)となる。

 

2024年は、新設した「Yamaha R3 BLU CRU Asia-Pacific Championship」に代表されるように、同社を中核に各グループ会社が、市販モデル「YZF-R3」を用いたレース普及と、若手を対象とした育成活動を実施。各地で活躍したライダーは、スーパーバイク世界選手権に併催される「Yamaha R3 BLU CRU FIM World Cup」に参戦し、ここを勝ち抜いたライダーをスーパースポーツ300世界選手権(WorldSSP300)に派遣してきた。

 

そして今年2025年は新たに、WorldSSP300の次のステージとしてスーパースポーツ世界選手権に育成シートを設定。2024年のWorldSSP300でチャンピオンに輝いたアルディー・スティア・マヒンドラ選手を登用する。

 

また全日本ロードレース選手権の最高峰クラスでチャンピオンとなり同選手権に参戦する岡本裕生選手の活動も精力的にバックアップしていく。加えて「BLU CRU」の最上位チームとして、Moto2世界選手権を戦う「BLU CRU Pramac Yamaha Moto2」を発足。世界中の若手ヤマハライダーたちが世界の最高峰を目指すための道筋をより明確にした。

 

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以下は参画各ジャンルでのモータースポーツ体制となる

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ロードレース
▶世界最高峰のMotoGP世界選手権には、「Monster Energy Yamaha MotoGP」からファビオ・クアルタラロ選手とアレックス・リンス選手、「Prima Pramac Yamaha MotoGP」からはジャック・ミラー選手とミゲール・オリベイラ選手が参戦する。

 

この4名に加え、「Yamaha Factory Racing MotoGP Test Team」では、アウグスト・フェルナンデス選手、カル・クラッチロー選手、更にはアンドレア・ドビツィオーゾ選手がテストライダーとして、レース現場と密な連携を図りながら「YZR-M1」の開発を進め、世界チャンピオンを目指す。

 

なお、2025年型「YZR-M1」はブルーを強調し、両チームで一部共通のカラーリングを採用した新しいデザインとし、企業・チーム・ライダーの調和と協力、二つのファクトリーチームの絆を表現している。

 

 

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▶Moto2世界選手権には、新チームの「BLU CRU Pramac Yamaha Moto2」からは、実力者のトニー・アルボリーノ選手とイサン・ゲバラ選手が出場。世界中の若手ライダーが注目する「BLU CRU」の象徴として、当社初となるチャンピオンの獲得と、新たなMotoGPライダーの輩出を目標に据える。

 

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▶スーパーバイク世界選手権は、「Pata Maxus Yamaha WorldSBK Official Team」からジョナサン・レイ選手とアンドレア・ロカテッリ選手。「GYTR GRT Yamaha WorldSBK Team」から、ドミニク・エガター選手とレミー・ガードナー選手が参戦。ウイングレット採用の2025年型「YZF-R1」を使用し、2021年以来のチャンピオンを目指す。

 

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▶スーパースポーツ世界選手権には、3チーム6名が新型スーパースポーツとして2024年に発表した「YZF-R9」で参戦する。2024年のスーパースポーツ300世界選手権チャンピオンのアルディ選手と、全日本ロードレース選手権JSB1000チャンピオンの岡本選手という二人のルーキーに託す。

 

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▶世界耐久選手権には、2024年に鈴鹿8時間耐久ロードレースで初表彰台を獲得するなど、ランキング2位となった「Yamalube YART Yamaha EWC Official Team」が「YZF-R1」で参戦。ライダーはニッコロ・カネパ氏の引退に伴い、マービン・フリッツ選手、カレル・ハニカ選手にジェイソン・オハロラン選手を加えた新たな布陣で臨む。

 

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▶MotoAmerica AMA/FIM北米ロードレース選手権には、「Attack Performance Progressive Yamaha Racing」からジェイク・ガニエ選手と、新加入のボビー・フォング選手が最高峰のスーパーバイクに参戦。マシンは2025年型「YZF-R1」を使用する。

 

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▶今年から、Road To MotoGPプログラムとしてスタートする「MotoAmerica Talent Cup」には、Yamaha Motor Corporation, U.S.A.(YMUS)のサポートチームが「BLU CRU」の一環として参戦します。「MotoAmerica Talent Cup」からは年間最大5人が「MotoGP Rookies Cup」の選考会に参加できる予定で、まずはこれに選ばれること、そして将来は当社のMoto2チームへの加入を目指す。

 

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▶全日本ロードレース選手権は、最高峰のJSB1000に「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」から中須賀克行選手が参戦し、当社にとってのクラス8連覇を目指します。マシンは、ウイングレットを採用したファクトリー仕様の「YZF-R1」を使用する。

 

 

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▶全日本ロードレース選手権に併催の「MFJカップ JP250選手権」では、「BLU CRU」活動としてヤマハユーザーを対象に、「Yamaha R3 BLU CRU FIM World Cup」のフル参戦権を争う「YAMAHA YZF-R3 スカラシップ」を継続。今年は2024年の高橋匠選手、2025年の久川鉄平選手に続き、欧州への切符を9名のライダーが争う。

 

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▶モトクロス/スーパークロス
モトクロス世界選手権の最高峰MXGPには、「Monster Energy Yamaha Factory MXGP Team」から、マキシム・ルノー選手、ヤゴ・グリーツ選手、カルバン・ファランデレン選手が、ファクトリー仕様の「YZ450FM」で参戦する。

 

 

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▶MX2には、「Monster Energy Yamaha Factory MX2 Team」から、カルリス・レイズリス選手、ティボー・ベニスタント選手、リック・エルジンガ選手が「YZ250FM」で参戦。それぞれチャンピオン獲得を目指す。

 

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▶1月に開幕したAMAスーパークロスには、「Monster Energy Yamaha Star Racing 450 Team/250 Team」が参戦中です。最高峰の450SXは、イーライ・トマック選手、クーパー・ウエブ選手、ジャスティン・クーパー選手が「YZ450F」で参戦。250SXは、ヘイデン・ディーガン選手をはじめ8名が「YZ250F」で参戦し、それぞれチャンピオンを目指す。

 

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▶5月末に開幕するAMAモトクロスは、スーパークロスと同様に「Monster Energy Yamaha Star Racing 450 Team/250 Team」が参戦する。

 

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▶全日本モトクロス選手権は、「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」から、IA1で2連覇中のジェイ・ウィルソン選手が「YZ450FM」で参戦し、当社にとってIA1の4連覇を目指す。また、セカンドチームとして「YAMAHA BLU CRU RACING TEAM」を新たに発足させたIA1には、実力者の大城魁之輔選手と渡辺祐介選手がYZ450Fで参戦。IA2は昨年、同クラスでチャンピオンとなった中島漱也選手と田中淳也選手が参戦し、ウィルソン選手のサポートを受けながらファクトリーライダーを目指す。

 

 

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トライアル
▶全日本トライアル選手権は、2023年から3年計画で進めてきた「TY-E」プロジェクトが最終年を迎える。今年は最高峰のIAスーパーに「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」から黒山健一選手と氏川政哉選手が参戦。両ライダーは、過去2年間の参戦を通じて収集した技術・知見を盛り込んで開発した新型電動トライアルバイク「TY-E 3.0」で出場する。

 

昨年は日本最高峰クラスで初勝利を獲得した「TY-E」だったが、今年は集大成として全日本最高峰クラスで史上初となる電動車でのチャンピオン獲得に挑戦しながら、引き続きカーボンニュートラルの実現や電動バイクなどに活用できる様々な技術の獲得を目指す。また「Team NOZAKI YAMALUBE YAMAHA」の野崎史高選手は、熟成を重ねた「TY-E 2.2」で参戦する。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。