モーターサイクル「YZF-R7」
ヤマハ発動機は10月20日、製品やサービス4点の「2021年度グッドデザイン賞」受賞を発表した。
本年度のグッドデザイン賞の受賞は、モーターサイクル「YZF-R7」(2021年冬以降日本発売予定)、スポーツ電動アシスト自転車「YPJ-MTPro」、産業用無人ヘリコプターによる「森林計測サービス」、ヤマハマリーナ浜名湖 「新クラブハウス」の計4点となった。
グッドデザイン賞を受賞した製品は10月20日から11月21日に東京ミッドタウン・デザインハブで開催される受賞展「グッドデザインエキシビション2021」 にて紹介される予定。
また、「YZF-R7」と「YPJ-MTPro」は、2021年度グッドデザイン賞審査委員が選ぶ、個人的なお気に入りや気になる受賞デザイン約70点を紹介する展示企画「私の選んだ一品」展(10月20日から11月24日まで、GOOD DESIGN Marunouchiにて開催)でも紹介される。
■モーターサイクル「YZF-R7」
– 製品概要
スーパースポーツ(以下SS)カテゴリーを牽引する「R」シリーズの最新モデル。より多くの、そして幅広い世界中のモーターサイクルファンに向けて、SSならではのエキサイトメントと憧れの「R」を所有する悦びを提供する。
– 審査員の評価
見た目はまぎれもないスーパースポーツのモーターサイクル。流麗なカウルの造形や多彩な情報を届けるデジタルメーターなど、細部にまで手抜きは一切ない。しかし内側は、同クラスのベーシックなモーターサイクルに使われるエンジンやフレームを流用し、コストダウンを実現している。多くの人にとって手が届く価格で、スーパースポーツの醍醐味を満喫できる。モーターサイクルの楽しさをより多くの人に伝えたいというメッセージに共感した。
■スポーツ電動アシスト自転車「YPJ-MTPro」
– 製品概要
フロード走行性能を追求した電動アシスト自転車(e-BIKE)。「楽しく刺激的な非日常体験」をコンセプトに、乗りこなす楽しみ、マウンテンバイクに最適化したアシスト性能、モーターサイクルメーカーであるヤマハらしいデザインを重点に開発された。スポーツレジャーの新提案として、カーボンオフセット時代に相応しいエキサイトメントを提供する。
– 審査員の評価
フレームを2本にしてバッテリーを挟むという手法は、モーターサイクル作りの経験豊富なメーカーならでは。しかもそのフレームは薄く、一体感を考えた造形であり、バッテリーの後付け感がない。走りにおいても、この一体感がプラスに働いていることが予感できる。ドライブユニットもコンパクトにまとめつつ、サスペンションともどもカバーで覆わずメカニズムをむき出しにしている。モーターサイクルに通じる機能美が見る者を魅了してくれる。
■産業用無人ヘリコプターによる「森林計測サービス」
– サービス概要
産業用無人ヘリコプターと高精度3次元形状計測器(LiDAR)を組み合わせた計測・解析手法を新開発し、これまで困難とされていた広域にわたる「森林の見える化」を実現した。確かなデータに基づく森林環境保全や防災、林業のスマート化等を促進し、カーボンニュートラルに向けた資源循環利用に貢献する。
– 審査員の評価
日本において森林環境の保全は気候変動や災害対策としても非常に重要な課題であり、こうしたテクノロジーはこれまでは難しかった自然環境のデジタルツイン化という点で今後ますます力を発揮すると思われる。人手に頼らず低コストで計測された高精細なデータが時系列で蓄積され、さらに様々な分野で共有されることで、森林の成長や循環という、人間の認知では捉えづらい時間スケールの変化をとられることも可能になるだろう。
■ヤマハマリーナ浜名湖「新クラブハウス」
– 建築物概要
1971年に開業したマリーナ施設の再編計画。浜名湖の新しいランドマークに相応しい存在感、風光明媚な自然環境との調和、クラブハウスのモダンな外観と機能美に溢れる内外装、人々の交流や周辺施設との連携を促す機能性、土木と建築をハイブリッドした防災対策などを盛り込んで、「とびきりのマリーナ」として半世紀ぶりにリニューアルした。
– 審査員の評価
崖に寄り添い、建築とランドスケープの中間のような謙虚な建築でありながら、浜名湖のランドマークとしての力強さもある建築だと思いました。これを実現するまでにどれだけの苦労があったかということを全く感じさせない上に、崖の崩落を防ぐという防災的な意味も持たせているところは高く評価されました。土木と建築をハイブリッドした工法を駆使したという点も、今後において建築業界、土木業界において参照されるべき仕事であると思います。