ヤマハ発動機は7月16日、インドネシア共和国で独自のマングローブ植林手法を展開する福岡市のワイエルフォレスト (以下、YLF)と業務委託契約を締結。同社への資金提供を通じて、南スラウェシ州でのマングローブの植林プロジェクトを開始すると発表した。
契約は、生物多様性やカーボンニュートラルへの貢献、そして海洋汚染防止を目的として、3年間にわたってシルボ-フィッシャリー型マングローブ植林の業務を委託するもので、ヤマハ発動機は今後、YLF社を通じて、215ha(約37万本相当)の植林活動とその維持整備を行っていく。
YLF社では、マングローブの森づくりと水産養殖再生の両方の便益を創出する独自の手法である「シルボ-フィッシャリー」を用いた植林事業を実施。これを通じて、インドネシアの持続可能な森林経営の実現と、自然共生型で持続可能な水産養殖による地元住民の生計向上に寄与すると共に、地中の炭素蓄積量が多く、ブルーカーボン(*)の視点からも重要な吸収源であるマングローブ林を育成してきたとのこと。なお、シルボ-フィッシャリーは、「Silviculture(造林)」と「Fishery(漁業)」を組み合わせた造語であると云う。
ヤマハ発動機は、長期ビジョン4つの項目の1つとして「今日よりもっと素晴らしい海を、未来へ贈る」という目標を掲げている同社のマリン事業に於いて、そのリーディングカンパニーとして、この目標実現に向け、今後も美しい海を残す活動に取り組み続けいくとしている。
*沿岸・海洋生態系に取り込まれ、そのバイオマスやその下の土壌に蓄積される炭素のこと。
シルボ-フィッシャリー型植林マルチベネフィット図(提供:YLF)。
<シルボ-フィッシャリー型植林について>
シルボ-フィッシャリーを活用した森づくりでは、インドネシア共和国内にある、放棄された養殖池跡地または生産性が低下した養殖池の中央にマングローブを植林し、その周りの水路でエビや魚を養殖しながら、持続可能な森林経営・水産業支援を行う。
植林したマングローブが水面(水路)に落とす葉にプランクトンが集まり、それがエビや魚の餌となるため、環境負荷が低減できることに加え、池を管理している地元住民に於いても、飼料や投薬に関するコストの削減ができるため、水産養殖を持続しやすいといった特長がある。
また、現地では、水産養殖持続のためにはマングローブ林が無くてはならない存在=共存の関係にあることから、森林が守られることで地球温暖化に貢献しながら水産養殖で地元住民の生計向上にも貢献することができると云う。
シルボ-フィッシャリー型植林概略イメージ図(提供:YLF)。
[YLFの概要]
– 商号:ワイエルフォレスト株式会社(英表記:YL Forest Co., Ltd. )
– 所在地:福岡県福岡市博多区
– 資本金:7,000万円
– 代表者:代表取締役社長 阿久根 直人
– 事業概要:
森林の整備・保全・維持および管理事業。植林事業。排出権取引に関する事業。温室効果ガス排出削減事業。環境整備に関する事業ほか。