PHCホールディングス(本社:東京都港区)傘下のウィーメックス(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:大塚孝之)は12月6日、三重県鳥羽市が2023年12月18日から2024年3月末まで実施する「鳥羽市医療MaaS実証業務」の実証運行に協力する。
ウィーメックスは、鳥羽市の上記実証運行で使用される、MONET Technologies(MONET社)提供の車両に、リアルタイム遠隔医療システム「Teladoc HEALTH」を搭載するかたちで、本実証運行をサポートするもの。
なお「Teladoc HEALTH」とは、専門医の少ない医療機関と遠隔地の専門医をオンラインで繋げる、リモート操作可能なリアルタイム遠隔医療システム。
超音波診断装置などの周辺医療機器と接続し、患者の容体を短時間で把握することができる(但し医療機器に該当する機能は含まれていない)。遠隔地にいる医師主導で操作を可能とし、最上位機種(モデル:Teladoc HEALTH Lite 4)は、45倍ズームおよび約360度回転が可能な高解像度カメラを搭載している。
また実証に参加するウィーメックスは、グローバルヘルスケア企業として事業を展開するPHCホールディングス事業子会社。企画・開発から販売までワンストップでサービスを提供する新体制として、2023年4月より新会社として事業を開始。
「メディコム」ブランドの医事コンピューターや電子カルテシステムの他に、薬局経営のサポートや特定保健指導の支援、遠隔医療システムなどを提供している。
また2023年10月に富士フイルムヘルスケアシステムズより電子カルテ・レセプト関連事業を取得。 国内の「医療DX」を推進するヘルスケア IT製品・サービスを通じ、医療サービス向上と医療従事者の業務効率化に取り組んでいる。
今実証では、車内でオンライン診療を可能とする「医療MaaS」と、患者の自宅から医療機関までの移動を支援する「患者移送サービス 」の2種類のサービスを、1台の車両で提供するマルチタスク車両「Teladoc HEALTH」の活用は、ウィーメックスとしては初の試みになるという。
鳥羽市では、予てより高齢化に伴う免許返納などによって、通院が難しい患者への医療サービスの提供が課題だった。また診療所の医師不足により、医師の業務効率化という面でも将来に向けた対策が必要だと考えていた。
そのような背景から2020年から、離島部を含めた市立診療所の医師が複数の診療所を受け持つグループ診療が始まり、医師が離れた場所から患者さんを診察するなど、ICT(情報通信技術)を活用したオンライン診療を行ってきた経緯もある。
※実証運行のイメージ図
今実証運行では、一台のマルチタスク車両を曜日や時間帯毎に使い分けて、「医療MaaS」と「患者移送サービス」という異なるサービスを提供する。
車両内でのオンライン診療は、鳥羽市の石鏡地区と今浦地区で実施。また鳥羽市立鏡浦診療所まで通院を必要とする患者に対しては、「患者移送サービス」を提供する構え。
更に今マルチタスク車両には、新たなシステムとしてウィーメックスのリアルタイム遠隔医療システム「Teladoc HEALTH」を搭載。この「Teladoc HEALTH」は、遠隔地にいる医師に、高画質で鮮明な映像と音声をリアルタイムで共有することができるオンラインシステムで、遠隔地にいる医師が対面に近い感覚で診療することが可能なものとなる。
今取り組みに際してウィーメックスでは、「このたびの実証運行を通じて、へき地等の医療アクセスが課題となっている地域の住民の方々が、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けていただくための、持続的な医療体制確保に貢献してまいります」と話している。
「鳥羽市医療MaaS実証業務」の実証運行の概要は以下の通り
実施期間:2023年12月18日~2024年3月末
実施内容:医療MaaS:石鏡地区と今浦地区にマルチタスク車両が訪問、鏡浦診療所の医師がオンライン診療を行う(事前予約制)。
患者移送サービス:石鏡と今浦地区から鏡浦診療所まで患者を送迎(事前予約)。
対象者:慢性疾患などで、鏡浦診療所、石鏡分室、今浦分室に通院中の方。
※医師から診療についての説明を受け、実証事業の参加に同意した対象者。
実施体制(順不同):
・鳥羽市:実施主体。
・MONET Technologies:実証企画・運営、マルチタスク車両やシステム提供。
・三重近鉄タクシー:車両の管理・運行。
・セコム医療システム:遠隔診療支援システムおよび各種医療機器の提供。
・ウィーメックス:医療機器の提供による支援。