20台のボルボFHエレクトリックが年間100万キロメートル以上を走破する
ABボルボ傘下のボルボトラックスは中央欧州時の10月6日、今年度末までに流通大手アマゾンのドイツ国内拠点に大型BEVトラックを納入すると発表した。( 坂上 賢治 )
納入予定の20台のボルボFHエレクトリック( Volvo FH Electric )は、これまで貨物輸送で使用されていたディーゼル燃料の代わりに、電気をエネルギー源として年間100万キロメートル以上を走破するようになる。
今日のドイツ国内で、重量物運搬車を含むその他の商用車の稼働規模はとても大きく、国内輸送に於ける二酸化炭素排出量の約36パーセントを商用車による輸送が占めている。
このため道路輸送事業者の脱炭素化への取り組みは、経営上で重くのし掛かる最重要事案となっている。従って物流大手のアマゾンにとってもトラック輸送に於ける脱炭素化は最重要であり、火急に電化へ切り替えるべく積極的に取り組んでいる最中にある。
流通最大手のアマゾンの二酸化炭素削減策は欧州へ対して大きな変革をもたらす
こうした同社の電気エネルギー施策に掛かる取り組み姿勢について、ボルボ トラックスで製品管理担当のシニアバイスプレジデントを務めるジェシカ サンドストロム氏は、「この地球上で輸送業界の最大手事業者であるアマゾンが、二酸化炭素排出量の削減に取り組む事は、欧州全域の輸送事業者へ対して大きな変革をもたらします。またその主導的な姿勢は、私達にとっても重要な意味を持っています。
我々ボルボトラックスが、そうしたアマゾンの積極的な取り組みに協力し、より重く長い輸送領域で二酸化炭素排出量の削減へ貢献出来る事をとても光栄に思っています。
我々ボルボ トラックスは、今年9月に大型電気トラックの量産を開始しましたが、これにより都市間の地域輸送用分野でBEVトラックが活発に利用出来る環境になりつつある事は、欧州全域に於ける道路輸送の脱炭素化にとって大変重要なマイルストーンであると考えています。
現在は、商品輸送で脱炭素化を求める消費市場に応えるべく、輸送産業では電化に対する需要が日増しに拡大しつつあります。
当社では、これに応えて世界規模で6種類のBEVトラックを受注出来る体制を整えています。これは、近未来の気候変動の影響を出来る限り軽減させるためにも大きな前進だと私達自身も自負しているところです」と話す。
物流ターミナルや営業所を繋ぐ中間物流は最も二酸化炭素削減の実施が難しい
特に重量輸送に応える大型車のボルボFH、ボルボFM、ボルボFMXトラックは、2030年時点で、全ての取扱い車両の5割を電動車に変えていくというボルボ自身の目標達成に於いて重要な役割を果たすだろう。
と言うのは、これらFH・FM・FMXの大型BEVトラックは、総重量44トンに対する欧州地域の輸送事業者が求める期待に応えるだけでなく、実は、この3モデルが同社の売上高の約3分の2を占めているからである。
一方で今回、大型BEVを導入する立場のアマゾンにとっても、こうした大型BEVトラックが最も二酸化炭素排出量が大きな区間の輸送領域で、ディーゼル車両に取って代われる可能性を持っているため、二酸化炭素の大幅削減で重要な役割を果たす。
アマゾンで欧州担当バイスプレジデントとして輸送サービスを担うアンドレアス・マーシュナー氏(Andreas Marschner)は、「当社は精力的に車両の脱炭素化に取り組んでいます。しかし物流ターミナルや営業所、物流倉庫などを繋ぐ中間物流(middle mile logistics)は特に二酸化炭素量の削減が難しいセクターです。
それゆえにバッテリー容量540kWh、出力490kW、航続距離300キロメートルのボルボの大型BEVトラックをこの度、当社が迎えられる事は、それ自体が非常に重要なマイルストーンでもあるのです。
これにより我々は、世界でも最も進んでいる商用輸送の電化プログラムに携わる事になります。 今後当社は、より一層の脱炭素化を推し進め、ゼロエミッション体制でお客様へ物流サービスを提供するべく、更なる投資と事業革新を重ねていきます」と述べている。