ボルボ・カーズ(Volvo Car Corporation)は、交通事故による死亡者や重傷者をゼロにするため、規制や法律で定められた基準よりも踏み込んだ独自の取り組みとして、今後全ての新車に、時速180kmの最高速度制限と、最高速度をさらに低く設定できるケア・キーを導入する。
ボルボは昨年の3月、2020年以降すべてのボルボ車の最高速度を時速180キロに制限すると発表。以来、そのような制限を課す自動車メーカーの権利について疑問視する意見もあったと云うが、たとえ一部の顧客を失うとしても、最終的に人命を救うためには自動車メーカーの権利と義務をめぐる議論の先駆者であり続けると、今回その強い決意を示した。
ボルボは、スピードの出し過ぎの問題について、一定の速度以上で事故が起きた際に、車内の安全装備や道路上のインフラ整備では、もはや死亡事故や重傷事故の完全な回避が不可能であると訴えている。
このため、ほとんどの欧米諸国では制限速度が設けられているが、スピードの出し過ぎは依然としていたるところで発生し、死亡事故や重傷事故の主な原因の一つとなっており、毎年、何百万人もの人がスピード違反の切符を切られている。
また調査によると、多くの人々はスピードの出し過ぎの危険性を十分に理解しておらず、そのため、多くの人がスピードを出し過ぎてしまい、交通状況に合わせた適切な速度への調節もできていない状況だと云う。
ボルボは、時速180kmの最高速度制限とケア・キーの導入により、スピードの出し過ぎによる危険性を強く訴えることで、同社が自動車の安全分野で世界をリードしていることを明確にし、また、両機能によって自動車メーカーとして積極的かつ責任を持ってドライバーのより良い行動をサポート、死亡事故や重傷事故ゼロの達成を目指していきたいとしている。
両機能の採用について、ボルボ・カーズ・セーフティ・センター責任者のマリン=エークホルム氏は、以下のように話している。
「自動車メーカーには、交通の安全を向上させる責任があると考えています。このような考え方に基づき、速度制限を導入する議論を重ねてきました。
最高速度制限とケア・キーは、スピード違反が危険であることを人々に認識させるのと同時に、さらなる安心を人々に与え、ドライバーのより適切な行動をサポートします」。
さらに、ボルボは、死亡事故や重傷事故をゼロにするという未来のビジョンに向けた交通安全における、スピードの出し過ぎの他にも2つの主要な懸念事項として、飲酒や薬物使用による酩酊および注意散漫を挙げ、これら3つに対処する取り組みとして、既に研究・開発を進めており、将来の車にはさらに多くの機能を導入していくとしている。
■(ボルボカー ジャパン)ボルボ・カーズ、スピードの出し過ぎによる危険性を喚起するため、全車に時速180キロまでの速度制限を導入すると発表(2019.03.05):https://www.vcj-press.jp/pressrelease/20190305