ドバイで開催されたCOP28気候サミットでは、気候変動対策に於いて、ありとあらゆるビジネスを、これまで以上に炭素中立化へ向けて前進させることの重要さを示している。
そんなCOP28で下された結論は厳しく、一部で進展が見られるものの、産業革命以前のレベルに対して地球温暖化を1.5度に抑えるには、世界はまだまだ大きく立ち遅れているとしている。
なお報告書には、輸送分野を含む特定分野に対する提言も含まれており、自動車産業については、「内燃エンジンを段階的に廃止し、EVを使用することが、この分野で最大の(環境負担)軽減の可能性となる」と結論付けた。これは、車両を電動化し化石燃料自動車から脱却させることを意味する。
そうしたなかボルボ・カーズは12月1日、2030年までに2018年を基準として車1台あたりのCO2排出量を75%削減することを目指すことを明らかにした。
これは同社の予てよりの計画であった2040年までにクライメート・ニュートラル(炭素中立)な企業になること。2018年から2025年の間に車1台あたりのCO2排出量を40%削減するとしていた目標に新たに追加されたものとなる。
より具体的には2023年1~9月期の車1台あたりのCO2排出量が、2018年の基準値と比較して19%減少させることを意味する。この2030年までに75%削減の目標値を達成させるためには、2030年までにEVのみを販売するとしていた同社の取り組み目標の継続を加速させることになる。
そこで同社は、世界経済フォーラムのFMC(First Movers Coalition)に加盟し、ニアゼロエミッションのアルミニウムへの移行を促進する新たなクリーン購買力に注力すると宣言している。
加えてスウェーデンの鉄鋼メーカーSSAB社とのの提携を通じ、自動車業界向けニアゼロエミッションスチールの開発に取り組んだ。そしてボルボ・カーズは、来たる2026年までに、いずれかの新型車開発に、ニアゼロエミッション・アルミニウムの使用を計画中だ。
ボルボ・カーズのハビエル・バレラ最高執行責任者(COO)兼副CEOは、「COP28は、気候変動対策ついての歴史的な責任を果たす場面といえます。気候変動による最悪の影響を回避するため、世界は一丸となって行動を起こす必要があります。
ボルボは今年前半、これまでのどのボルボ車よりも少ないカーボンフットプリントを実現したEVの小型SUV「EX30」を発表しました。
このEX30は、ボルボが2030年までに完全なEVメーカーになることを目指して、発表する最新のEVモデルのひとつです。そんな私たちの計画は順調に前進しており、2023年1~9月期には、既にEVがボルボ・カーズの販売台数の16%を占めるまでに至りました。
また、内燃エンジンからの脱却も急速に進めています。私たちは2024年初めにディーゼルエンジン車の生産を終了し、新しい内燃エンジンへの研究開発投資も終了する予定です。もはや私たちは、過去の技術に目を向けるのではなく、未来を見据えているのです。
同時に、最新の目標を達成するためには、サプライチェーンと自社事業(ロジスティクスを含む)全体のCO2排出量について取り組む必要があり、2030年までに2018年を基準としてそれぞれ30%削減することを目指しています。
以上のように私たちはすでに多くのことを実践しています。2022年には、自社事業の69%がクライメート・ニュートラル エネルギーで運営されました。それ以降、私たちは最近、世界中にあるボルボの各工場において100%クライメート・ニュートラルな電力とすることを達成しました。
またこの夏には、世界的な自動車メーカーとして初めて、大陸間海上輸送の86%を化石燃料からバイオ燃料に切り替えることを発表しました。これにより、海上輸送のCO2排出量を84%削減し、事業活動からの排出量を削減するという私たちの高い目標に貢献しています」と自社の積極的な取り組み姿勢を説明した。
更にボルボ・カーズの気候変動対策責任者を務めるヨナス・オッターハイム氏は、「私たちはこれまでもCOPサミットを通じて集団的な気候変動対策を推進してきており、今回のCOP28についても同様です。
私たちや、志を同じくする企業が取り組もうとしているのは、時に古くからの産業プロセスを脱炭素化するための革新的な技術を開発し、その規模を拡大することです。
FMCに参加し、SSAB社とのパートナーシップで具体的な進展を示すことで、この重要な転換が可能であるだけでなく、すでに進行中であることを実証したいと考えています」と結んでいる。