NEXT MOBILITY

MENU

2024年10月2日【MaaS】

うさぎ企画、焼津市の交流型モビリティ実証第3弾が始動

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

車両の輸送能力を向上させ、地元需要と市外客の定着効果の見極めへ

 

モビリティ&人材マッチングをテーマに地域活性化事業に取り組む〝うさぎ企画〟は10月2日、静岡県焼津市で交流型モビリティ実証「つなモビ」第3弾を実施する。なお、これは経済産業省「地域新MaaS創出推進事業」の一環で実施される。

 

当該実証は、2024年10月12日(土)~12月15日(日)の65日間、焼津駅南東4キロ圏内で、〝うさぎ企画〟が「つなモビ」と命名したグリーンスローモビリティ(グリスロ2台で/1日)を走行させる。ちなみに「つなモビ」という名称には、焼津の名産品であるまぐろ(ツナ)と、「つながりを生むモビリティ」という意味が込められている。

 

 

「つなモビ」は、生活利便施設・商店・直売所・観光施設・交流施設など45カ所の停留所に利用者を送迎することで、地元客の移動促進や、市外客と地元との交流による経済効果やイノベーション効果の創出を図る。利用料金は1日乗り放題で700円、1回利用券は300円で、焼津市LINE上の専用アプリまたは車内運転手経由で購入することで利用できる。 

 

冒頭の通り、2022年度から数えて今回が3回目となる同実証は、実装を賭けた最終実験という位置付け。実装の要件は1日あたりの乗車回数や収支率といった運賃起因の定量効果に加えて、焼津市の課題である地元高齢者の外出支援効果や、市外からのビジネス客の周遊による経済・交流効果等も勘案。焼津市による総合評価で判断される。

 

実証の完成度を高め意味もあり、今回は昨年度の前回実験から停留所数が増加(30カ所→45カ所)させた他、課題だった車両強度や輸送能力についても高齢者も乗降し易い低床かつ安定性ある車両を起用。

 

輸送能力を1.5倍(6人乗り→9人乗り)とするなど実装を見据えて数々の改善を施した。併せて新たな取り組みとして、時速19キロというグリスロならではの低速さゆえの視認性が評価されて地元ラジオ局から車体広告協賛を獲得。専用アプリの機能更新を通じ、市外客のふるさと納税効果や、経済効果の見極めなども行っていく構えだ。

 

45カ所の停留所

 

ここで改めて昨年度の前回実証結果を紹介すると、79日間で580名の利用客(平均2.7ライド/名)と1,781万円の経済波及効果を記録。その利用客の4割は地元客となっている。

 

この成果について〝うさぎ企画〟では、自家用車所有率が8割を越える焼津の街で、それだけの多くの地元客が「つなモビ」を利用した裏を振り返り、その低速さゆえに停留所との交流や旧来の街並みが楽しめるという自家用車や従来の交通にない体験価値への評価があったのではないかと分析している。

 

併せて日常行動や観光目的で来た利用客のうち24%が、自家用車から「つなモビ」に乗り換えるなど、焼津市が推進するウォーカブルな街づくりやゼロエミッションに寄与する動きも確認できたともいう。

 

そこで〝うさぎ企画〟は今実証を介して3年間の集大成を目指し、スローだからこそ深まる利用者と街の交流を通じて、地元のシビックプライドと市外客の定着化を実現することで、新しいイノベーションモデルを焼津から全国に発信していきたいと話している。

 

焼津市ラインからの予約方法

 

「つなモビ」第3弾の概要は以下の通り

 

実施場所:静岡県焼津市 (焼津駅南口の3キロ圏内)
実施期間:2024年10月12日(土)~12月15日(日)・全65日間
運行時間:10:00~17:00
実験主体:合同会社うさぎ企画(経済産業省「地域新MaaS創出推進事業」の委託事業)
協力:焼津市
後援団体:焼津市観光協会、焼津商工会議所、しずおか焼津信用金庫
運行委託:株式会社アンビ・ア タクシー事業部

 

 

チラシデザイン:
https://prtimes.jp/a/?f=d100976-16-5b13657a85a696c5cf5eda9cbd9399b6.pdf

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。