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2024年3月12日【トピックス】

米IIHS、現状の自動運転支援機能の安全性に難色

坂上 賢治

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Lexus LSの運転補助機能のみ、唯一の許容範囲内にあることを示す

 

米国の高速道路安全保険協会( IIHS / The Insurance Institute for Highway Safety )は3月12日、自国内で流通する14ブランド車の運転支援機能を検証し、許容できる評価は1ブランドのみ。その他は安全対策が不十分だと評価した。( 坂上 賢治 )

 

IIHSのデビッド・ハーキー社長は、「今回は、BMW、フォード、ゼネラルモーターズ、ジェネシス、レクサス、メルセデス・ベンツ、日産、テスラ、ボルボの自動運転支援機能を評価しました。しかし、それらの多くは運転支援機能の誤用を防止したり、運転支援機能を使用中にドライバーが集中力を失わないようにするための適切な対策がなされていません」と断じた。

 

そのなかでLexus LSのTeammateシステムは、評価テストで唯一許容可能な範囲にあることを示した唯一のシステムとなった。GMCシエラと日産アリヤも、部分的な自動運転支援機能を搭載しているものの評価は低かった。

 

先のハーキー社長は、「フォード マスタング マッハ E、ジェネシス G90、メルセデス ベンツCクラス セダン、テスラ モデル3、ボルボS90は、複数の評価基準で低評価となりました。なお同一メーカーで、同じ名称のシステムが搭載されていますが今回の評価結果は、テストした特定のモデルのみに限定した結果です。

 

そもそも部分的な運転支援機能を搭載した車は、完全な自動運転車ではありませんが、自動車メーカーは、自社のシステムが自動運転機能を搭載したクルマであると連想させる機能名を付けることがあります。

 

従って一般のドライバーの中には、部分的な運転支援機能であっても長距離運転が楽になると捉える人がいるかもしれません。しかしこうした機能を利用することで安全性が高まるという根拠はどこにもありません。特に評価基準中のクラッシュ項目が示しているように、運転支援機能に適切な保護対策が施されていない場合、むしろ新たなリスクを呼び込む可能性すらあります。

 

平素、生身のドライバーは運転時に複数の運転タスクを並行処理しています。対して部分的自動化運転機能の場合、それがどの程度適切に実行されているかを監視する必要があり、何か問題が発生した場合に備えて、速やかに運転操作を引き継ぐ準備を整えておく必要があります。

 

実際、部分的な運転支援機能の搭載車は、ドライバーが常に運転を引き継げる準備ができていることを確認するための安全策が講じられています。けれども現段階では、それらが十分に機能していないことが示されています」と述べた。

 

更にIIHSの上級研究員アレクサンドラ・ミュラー氏は、「それぞれに搭載機能の欠点は個々の車両やシステム毎に異なります。ただ多くの車両は、ドライバーが道路を本当に注視しているか、いつでも運転を引き継ぐ用意ができているかを精緻には監視していません。

 

多くの車両では、運転を引継ぎを促す通知を出した際、運転を委ねて注意散漫になっているドライバーを直ちに覚醒させる強い注意喚起ができていません。また一部の車両では乗員がシートベルトをしていなくても、または他の重要な安全機能がオフになっていても運転支援機能が使用できる状態になっているものもあります。

 

一方で我々の新評価基準は、意図的な誤用、長時間に亘る注意力の欠如を減らすために役立つ有益な安全策の強化を求めています。

 

 

今評価は閉鎖されたトラック上で実施するか、公道で実施する必要がある際は、IIHSの2人目のスタッフが助手席で運転環境と車両システムを監視しました。また今評価スコアは、複数回のトライアルを踏まえた一連のテストスケジュールに基づいて付与され、相互のパフォーマンス評価とのバランスを考慮しています。

 

そこから得られた今評価は、運転支援機能を搭載した多くの車両が、現実に高速道路上を移動していることを踏まえると、実に憂慮すべきものとなりました。

 

但し全体のパフォーマンスを見てみると明るい兆しもあります。全体的に高い成績を収めたシステムは存在しない結果となりましたが、各々のカテゴリで少なくとも1つのシステムが好成績を収めたからです。つまり修正は可能であり、ケースによっては単純なソフトウェアアップデートだけで修正が完了する可能性もあります」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。