Indy Autonomous Challenge
AIによる完全自律形式で走るオープンホイールのレーシングカー(フォーミュラ・レーシングマシン)開発を手掛けるIAC(Indy Autonomous Challenge/インディ ・オートノマス・チャレンジ) は1月8日(米国ネバダ州ラスベガス)、CES2024の開催会場に於いて、次世代の自動運転車プラットフォームの「IAC AV-24」を発表。自動運転技術に於ける新たな時代の到来を宣言した。
この自律型ハードウェア+ソフトウェア技術を融合させた「IAC AV-24」は、時速190マイルを超える速度域で車両を完全制御するAIドライバーシステムを実現。世界最速を誇る自律型レースカーのパフォーマンスを、更なる高みに押し上げたと謳っている。
IACのエンジニアリングチームは、昨年来より自律型ハードウェア並びにソフトウェアの技術開発に協力する参画企業(ブリヂストン、Cisco、Continental、dSPACE、Luminar、Marelli、New Eagle、NI、VectorNav等)と共に、今回の最先端のロボット システムの完成に取り組んだという。
結果、過去3年間・7,000マイルを超える実証走行を経て、世界最速の自律型レースカーを成立させた上に、同システムは既に特定のシャーシにのみ依存することなく、複数のプラットフォーム上でシステムが柔軟に作動するようになった。
その実力について、これまでIACを主導してきたポール・ミッチェル氏は、「我々は自動運転システムを搭載したレーシングカーが、生身のドライバーに頼ること無く、自動車レースというある種の極限状態下で、ライバル達と正々堂々と競い合えることを証明する。そんな途方もない目標に取り組んできました。
そうしたなか先代システムのAV-21では、数々の自動レースの記録更新を樹立してきましたが、その一方で、現行システムに於ける幾つかの限界も発掘してきた足跡でもありました。
そして今回、リリースした次世代システムのIAC AV-24は、AI技術の可能性を最大限に引き出し、過去の人間のドライバーによるモータースポーツの歴史のみならず、これまでの自動運転技術上の短い歴史に於いても、成しえなかった新たな限界を切り拓くものとなりました。
そんなIACは、モデルベース開発領域で商用パートナーのdSPACEとの連携を始動させ、高精度なソフトウェアインザループ (SIL) の開発に着手しています。
具体的には、このIACとdSPACEのパートナーシップを踏まえてSIMPHERAソフトウェアを活用したレーストラックのデジタルツイン化を構築。IACへの参加を希望する新規チームは、このデジタルツイン環境下でIAC AV-24レースカーを試して、そのパフォーマンスを精緻に検証できるようになります」と述べた。
Indy Autonomous Challenge
またdSPACEのカーステン・ホフCEOは、「未来を見据えIACは、2024年のレース・スケジュールを発表しました。これには2024年9月6日の歴史あるインディアナポリス・モーター・スピードウェイが復帰することも含まれています。
加えて今年IACは、再びミラノモンツァモーター ショー (MIMO) との提携も結んでイタリアモンツァのF1サーキットの地を踏みます。去る2023年に6台の自動運転レースカーをMIMOのタイムトライアル競技会で走らせた実績を踏まえ、IACはヨーロッパ最古のレーシング サーキットであるモンツァF1サーキットを舞台に自動運転レースの限界を突破させていく覚悟です」と話している。
Indy Autonomous Challenge
更にIEDC(インディアナ経済開発公社)でエグゼクティブバイスプレジデントを務めるサレナ・スカルディナ氏は、「IEDCは、世界中から優秀な人材を集め、インディアナ州に自動車技術のエコシステムを構築しています。
私たちの州は、先の技術のエコシステムと高品質な労働力を支えており、自動運転を筆頭に将来を見据えた産業が繁栄するための最適な場所となっています。
そうしたなかでIACがインディアナポリス・モーター・スピードウェイに戻ってくることは、インディアナ州が自動運転技術領域でのリーダーシップを継続し、当地が技術革新の世界的な発信拠点であり続けることを示しています」と語っている。
最後にIACは、今年グッドウッドとのパートナーシップ関係も拡大させて、グッドウッド フェスティバル オブ スピード (FOS) で、新しい取り組みとなるFOS Techの最初のパートナーにもなった。このコラボレーション関係には、今年 7月11~ 14日に開催されるグッドウッド フェスティバル オブ スピードへのIACの参加が含まれているという。