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2020年11月6日【企業・経営】

米GM、2020年第3四半期の業績を発表

NEXT MOBILITY編集部

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米国のゼネラルモーターズ・カンパニー(以下GM)は、11月6日(米国・デトロイト11月5日)、2020年第3四半期の業績について発表した。

 

GM・ロゴ

 

 

レポートによると、今期の利益は40億ドルを計上した。また希薄化後EPSは2.78ドル、希薄化後調整後EPSは2.83ドルとなっている。強力な製品ラインアップ、安定した価格設定とコスト削減策により、調整後EBITは53億ドルを計上し、利益率は14.9%。となった。オートモーティブ流動性は378億ドルと堅調で、年末までにリボルビング・クレジットの残高の返済を見込んでいる。

 

 

GM会長兼CEOのメアリー・バーラは、「今年、そしてこの第3四半期は、GMの回復力の証です。私たちは、新型コロナウイルスの世界的大流行に強い姿勢で臨み、重要な製品プログラムを軌道に乗せながら、チームの安全を確保し、現金支出を抑え、流動性を維持するために断固とした行動をとってきました。現在、私たちはお客様の需要の高まりに応え、変革を加速させ、GMのビジョンである無事故、ゼロエミッション、混雑ゼロの世界を実現するために、十分な体制を整えています」と述べた。

 

 

 

 

■業績は回復力を実証

第3四半期の業績は、世界経済が厳しい状況下にあってもGMが効果的に事業運営を行えることを証明した。これはGMの変化に対する敏捷性と、強力かつ成長しているフランチャイズ事業の結果によるもので、好調な収益とフリーキャッシュフローを達成した一方で、EVおよびAVの成長戦略への投資を継続し、フルサイズSUVの新たなラインアップを発売し、米国におけるフルサイズピックアップトラックと大型SUVの市場シェアでトップの座を維持した。

 

 

 

■流動性とコスト削減策

オートモーティブ流動性は目標を上回る378億ドルで終了。GMは第3四半期中にリボルビング・クレジット・ファシリティのうち52億ドル、10月にはさらに追加で39億ドルを返済した。健全なキャッシュフローを維持しながら、年末までに完済すると予想している。GMは、当四半期に200万ドルのコスト削減を計上し、2018年以来の事業再編によるコスト削減目標である40億ドルを達成した。年末までに40億~45億ドルの目標範囲で進捗を継続すると見込んでいる。

 

 

■GMの全車電動化の未来へ

GMは、全車電動化の未来に向けて加速するため、製品開発と製造に大規模な投資を行っている。

第3四半期、GMは将来のEV用駆動システムとなる次世代EVパワートレインとして「アルティウム・ドライブ」と呼ばれる5つの交換可能な駆動ユニットと3つのモーターを導入すると発表した。「アルティウム・ドライブ」は、GMの全電動化ラインアップへの移行を支援し、性能、規模、市場投入までのスピード、製造効率の面で大きなアドバンテージを提供します。またGMは、自動車メーカーとして初めて、量産電気自動車に「ワイヤレス・バッテリー・マネジメント・システム」を採用することを発表した。これにより無線でのアップデートが可能となり、配線に関連するコストや重量が削減できるようになる。

10月には、「アルティウム」バッテリーシステムを搭載した初のEVとなるスーパートラック「GMCハマーEV」を発表。このモデルは、2021年後半にデトロイト州ハムトラミックにあるGMの組立工場「ファクトリー・ゼロ」で、生産開始される予定だ。「ハマーEV」は、開発開始から生産に至るまで、近年のGMの歴史の中で最速の車両開発プログラムであり、GMがいかにイノベーションを加速し、機敏性を高めているかを示す一例となる。

GMは、さらにテネシー州スプリングヒルの製造工場に20億ドルを投資することも発表。これにより同工場は、ファクトリー・ゼロおよびオリオン組立工場に続いてEVの生産拠点に転換することになる。スプリングヒルで生産される最初のEVは「キャデラックリリック」になる予定で、「キャデラックXT5」「キャデラックXT6」も継続して同工場で生産される。

GMのCFOジョン・ステイプルトンは、「米国および中国の販売は多くの人が予想していたよりも早く回復しており、GMは新車やサービス、特にフルサイズピックアップトラックとSUVに対する顧客の旺盛な需要により利益を得ています。これらの強力な事業基盤と、GMの変革および緊縮策の効果により堅実な収益を実現し、多額のキャッシュを生み出し、新型コロナウイルスの流行初期に発生した債務を迅速に返済することができています」と述べている。

 

 

■米国の自動車需要の回復

第3四半期の米国の販売は、クロスオーバー、フルサイズピックアップトラック、大型SUVの好調な売上にけん引され、月ごとに改善した。「シボレーブレイザー」は四半期として過去最高を達成し、「キャデラックXT6」は前年比45%増を記録。在庫不足にもかかわらず、GMの大型ピックアップトラック、特にヘビーデューティピックアップトラックが好調だった。第3四半期までのGMの大型ピックアップトラックの小売市場のシェアは1.7ポイント上昇して37.5%を獲得し、このセグメントをリードしている(J.D.パワー調べ)。GMの新型フルサイズSUVは需要が高く、「シボレータホ」および「サバーバン」、「GMC ユーコン」および「ユーコンXL」は、第2四半期の発売以来、小売市場で3ポイントのシェアを獲得している(J.D.パワー調べ)。

 

 

 

 

■GMファイナンシャルが好調な業績を達成

このような厳しい時代にあっても、GMファイナンシャル(GMF)は顧客およびディーラー各社に優れたサポートを提供し、収益の向上に貢献してきた。GMFは、10年前の設立以来、リテール顧客およびディーラーの双方を対象としたファイナンシング・ビジネスのシェアを拡大し続けており、第3四半期の米国GMのリテール普及率は43%に達し、GMのディーラー向けフロアプラン・プロバイダーのナンバーワンとなりました。GMFは、年初来、GMに8億ドルの配当金を支払っている。

 

 

■GMインターナショナルの販売の成長

第3四半期、市場の回復が続く中、GMの中国の販売は前年同期比12%増となった。ビュイックとキャデラックが好調で、それぞれ26%および28%の販売増を記録。五菱(ウーリン)の「宏光(ホングァン)MINI  EV」が中国で最も売れたEV車となり、ビュイックは第3四半期に、全電動SUV「ヴェリテ7」およびプラグインハイブリッド電気自動車「ヴェリテ6」の販売を開始した。今後5年間で、GMの中国における新型車の40%以上が新エネルギー車になる予定だ。

南米では、123,000台近くを販売し、中でも「シボレーオニキス」が最も売れたモデルだった。

 

 

■イノベーションの加速

GMとホンダは、「北米自動車アライアンス」の構築に向けて、法的拘束力を有しない覚書を締結している。その内容には、両社の各ブランドで販売する車両の範囲と、購買、研究開発、コネクティッドサービスなどに関する協力が含まれている。両社は、推進システムや先進的な運転支援機能と共に、車両プラットフォーム共有化の可能性を追求していく予定。この提携により大幅なコスト削減を実現し、将来のモビリティの機会に投資するためのリソースを活用することができる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。