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2025年2月6日【ESG】

ウーバーが、電脳交通のアライアンスパートナーに加わる

坂上 賢治

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電脳交通は2月6日、他社の配車アプリや交通関連サービスとの連携を可能にする自社配車システム「DSコネクト」に米タクシー配車大手傘下のUber Japan(ウーバージャパン)が参画することを発表した。

 

上記のクラウド型タクシー配車システム「DSコネクト」は、配車オペレーター用画面とドライバー用車載タブレットをセットにした配車システムで、DSコネクトの導入によりタクシー事業者は業務の効率化が実現する。実際、全国47都道府県で約600社・約2万台のタクシー車両にDSが導入されている。

 

今回のUberとの連携は、全国47都道府県・約600社・約2万台のタクシー車両に導入されている電脳交通のクラウド型タクシー配車システム「DSコネクト」と、世界70カ国以上で展開されているUberアプリとのシステム連携が実現するというもの。

 

 

この結果タクシー事業者は、電話およびUberアプリからのタクシーの配車依頼を、電脳交通の車載タブレット1台で同一画面にまとめて受けられるようになる。更に電脳交通がタクシー事業者とUberアプリ間で発生するオンボーディングや契約、支払いなどの手続きを一元管理することで、双方に発生する工数を削減させることで効率的な運用も実現する。

 

近年、国内のタクシー業界では事業者の倒産・廃業件数が相次ぎ、帝国データバンクの調査によると2024年には過去最多を記録している。一方で、同年の訪日外国人は3000万人を突破し、過去最高を更新した。

 

そうしたなかで電脳交通とUberの2社は、上記の需給ギャップを埋め合わせるべく電話配車に加えて配車アプリを導入することで、訪日外国人を含む多様化する顧客層の集客力を高められる策を拡張していきたい考え。

 

 

より具体的には、電脳交通のクラウド型配車システム「DSコネクト」と配車アプリや交通関連サービスを接続する「DSコネクト」にUberが参画することで以下の仕組みが実現する。従ってUberとしては、こうした連携サービスなども活用して2027年位までにはタクシー配車サービス網を、現行の19都道府県から47都道府県へと拡大させていきたいという想いを持っているようだ。

 

・車載タブレットの集約:従来はサービスごとに必要だった車載タブレットを、電脳交通のタブレット1台に統合。また、電話配車とUberアプリによるタクシーの配車依頼を電脳交通のクラウドシステムを介して、同一画面で受けられるようになる。

 

・手続き窓口の一元化:電脳交通がタクシー事業者とUberアプリ間で発生するオンボーディングや契約、支払いなどの手続きを一元管理することで、双方にかかる本来必要な工数を削減し、効率化を実現する。

 

・この仕組みの提供を介した将来像:個々のタクシー事業者は、大きな業務負担をかけることなく新たな配車アプリを導入でき、電話と配車アプリを組み合わせた柔軟なサービス提供により、業務効率化と収益拡大が実現する。

 

DSコネクトが提供するサービスラインナップ

 

加えてウーバー側からも連携に伴う貢献ポイントとして以下3要素を挙げた。

 

・地域経済の活性化:Uber のグローバルプラットフォームを活用することで、地方の観光産業や経済活動を支援する。

 

・訪日観光客の利便性向上:Ube rアプリを利用する訪日外国人観光客が、地方の交通手段をより簡単に利用できるようになる。

 

・タクシー業界のデジタル化促進:プラットフォーム同士の連携により、タクシー業界全体のデジタル化を加速し、効率的な運営をサポートする。

 

今回の連携について電脳交通の近藤洋祐社長は、「電脳交通が全国47都道府県のタクシー事業者に提供するクラウド型配車システムD Sが、70 カ国に展開されるUber のグローバルなモビリティプラットフォームと連携することで日本でのタクシー利用の体験が向上し、業界全体の活性化につながることを期待しています。また、2社のテクノロジーの融合が、地域の移動課題の解消につながると考えており、全国のあらゆる地域で人々が快適にタクシーを利用できる状況をUber 社と協力して実現していきたいと思います」と述べた。

 

対してUber Japanの山中志郎代表は、「今回の電脳交通とのパートナーシップは、Ube rにとって日本市場における重要なマイルストーンです。地方の交通課題にテクノロジーを活用して取り組み、タクシー業界の成長を支援するとともに、訪日観光客や地域住民の皆さまにより良い移動体験を提供できることを大変嬉しく思います」と語った。

 

株式会社電脳交通の概要
所在地:徳島県徳島市寺島本町西1丁目5番 アミコ東館6階
設 立:2015年12月
代表者:代表取締役社長 近藤 洋祐
従業員:201名(2024年12月末時点)
資本金:1億円(2023年11月末時点)
主要株主:三菱商事、JPインベストメント、ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社、JR東日本スタートアップ、JR西日本イノベーションズ、四国旅客鉄道、GO株式会社、第一交通産業グループ、エムケイ、沖東交通、三和交通、NTTドコモ・ベンチャーズ、阿波銀行、徳島大正銀行、いよぎんキャピタル、ブロードバンドタワー(敬称略、順不同)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。